(   私情協編『マルチメディアを活用した教育の方向性』1997年所収   )

演習科目では、経済理論と計量経済学の基礎知識を前提にして、 経済学における数量分析手法のより進んだ理解と応用をめざす。

一般的な例として、 経済統計データの処理や官庁統計に関する種々の問題、 単純最小二乗法による回帰分析の前提と限界、 経済理論に基づく整合的な経済モデルの構築とシミュレーション、 こういったテーマに沿って演習を行うことが考えられる。

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このようなテーマにそって演習をすすめていくためには、 単純な表計算ソフトの利用に加えて、 計量経済分析に役立つ統計パッケージソフトウェアの援用が不可欠であり、 さらに、実際の経済データをじゅうぶんに活用するためには、 包括的な経済統計データベースの整備が望ましいだろう。

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したがってまず、こうした演習科目では、 TSP や SPSS といった統計ソフトウェアの操作に習熟させる ことが必要となる。

こうした統計ソフトのプログラム機能を用いることで、 実証分析の応用練習を行うことはもちろん、 簡潔なモンテカルロ実験を行うことができる。 乱数を発生させ反復模擬実験を行うプログラムを作成することで、 たとえば最小二乗推定量の回帰係数の標本分布を求め グラフ化することが可能である。 簡単なコマンドの実行からはじめて、演習の進展に平行して、数十行 のプログラム作成に至る操作練習をすすめていくことができるだろう。

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また、演習に必要となる経済統計データベースは、 自習時における任意のデータ検索、 授業時における同時利用を前提にすると、 学内にデータベースサーバを置き LAN を通じて簡便な検索ができることが望ましい。

従来から各大学経済学部において こうしたデータベースに関する工夫はなされてきたが、 WWWの普及と学内 LAN の充実にともなって、 機種依存性のない安価な検索システムを構築することが 容易になってきている。 たとえば、WWWのCGI機能を利用して、 各教室からWWWブラウザを用いて簡便に必要なデータ系列を検索するといった 方法が考えうる。

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なお、こうした科目では、 学生の主体的な演習、とくに時間外の積極的な自習を求めるわけであるから、 それに対する講義時間外のサポートが必要となるが、 ハイパーテキスト形式の講義シラバスのいくつかの作成事例を、 国内外インターネット上に見ることができる。

こうしたシラバスの作成によって、 受講生は、任意の時間に 学内 LAN 上の任意の端末から、 講義のアウトラインと各講時の 演習例題に関するコンピュータ操作の手順を、 簡便に参照することができ、 同時に個別の質問事項を電子メールで教員に伝えることが可能となるだろう。

 

テーマ


内容


1

2

3

機器操作等

統計ソフト、電子メールの基本操作

データベースの説明と検索の練習

 


4

5

経済データの特質と加工
寄与度・加重平均・相関などの記述統計手法

トレンド除去・季節調整


6

7

8

9

10

重回帰分析演習
自由度修正ずみ決定係数・F統計量

変数選択・ダミー変数やトレンド変数の導入

DW比

多重共線性、簡単な再現実験

練習問題


11

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13

回帰モデルにおける仮説検定
線形制約に関するテスト

構造変化に関するテスト

練習問題


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15

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17

一般化最小二乗法
ガウスマルコフ定理、モンテカルロ実験

系列相関・不均一分散

一般化最小二乗法

練習問題


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20

21

22

連立方程式モデル
経済モデルと同時方程式バイアス

操作変数法

識別問題の概観

内生変数と先決変数

静学モデルと動学モデル


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24

25

モデルシミュレーション
簡単な線形定差体系の数値解法

トータルテスト・ファイナルテスト

乗数分析(政策シミュレーション)