Facebook株式上場の光と影

皆さんは交流サイト(SNS)最大手の米Facebookをご存じですね。今や世界中で10億人近い人々が利用しているとのことで、アカウントを持っている学生諸君も少なくないと思います。実はこのFacebook、2012年5月18日アメリカのナスダック証券取引所に株式を上場しました。近年稀にみる大型上場ということで関係者から非常に注目を集め、上場後も何かと話題となっています。。。といってもピンとこない人が多いかもしれません。そこで、このコラムでは一歩戻って「会社とおカネ」のことから説明し、Facebookの株式上場がもたらした功罪について解説をします。

株式を上場すると売り買いが円滑化する

皆さんが日々生活するためにはおカネが必要ですよね。会社が活動するためにもおカネが必要です。ではどこからおカネを手に入れるのでしょう。会社のおカネの手に入れ方(資金調達方法)は大きく分けて2通りあります。1つは銀行などから借りる方法です。借りたおカネなので期日までに利息を付けて返さなければなりません。もう1つは会社が発行した株式を買ってもらい、オーナーになってもらう方法です。株式に満期はないので、会社に返済義務はありません。

株式の欠点の1つは、売り買いが難しいことです。一般に、会社は株式を買ってもらう投資家を、投資家は株式を売ってくれる会社を見つけるのが困難です。しかし、株式上場によりこの欠点が大きく改善します。証券取引所には株式を売りたい会社・株主と買いたい投資家が集まります。いわば魚市場のようなもので、そこに株式を並べること(=上場)で、売り買いが円滑にできるようになるのです。

株式上場は巨額の創業者利益を生む

Facebookは株式上場に際し、68.4億ドル分(約5,500億円)の株式を新たに発行し、個人を中心とした投資家に幅広く買ってもらったようです。株式を上場したことで不特定多数の投資家から多額の資金を得ることができました。Facebookはこのおカネを使って社員の増員や、M&A(企業買収)などを積極的にやりたいといっています。

また、創業者のザッカーバーグ氏や同社の役職員など上場前の株主が91.2億ドル分(約7,300億円)の株式を売却し、膨大な額の現金を手に入れました。株式上場は会社を設立時から支えてきた創業者や役職員が、これまで頑張ったことに対する利益(創業者利益)を確定させる場でもあるのです。新しい株主が払ったおカネはなんと1.28兆円です。株式を上場しなければ、このような多額の取引は恐らく不可能です。

上場後の株価下落で損失をうけた一般株主が続出

一方で、上場したFacebookは様々な責任を負うことになります。特に、不特定多数の投資家が株主となることで、株主に対する責任が強まっています。投資家の最大の関心は株価です。実は2012年8月現在、Facebookの株価は低迷しています。上場時の投資家は1株を38ドルで買いましたが、このところ1株20ドルを切ることもあります。株式の価値はおよそ半値になってしまい、多くの新しい投資家が損をしているとみられます(約6000億円が消えた計算になります)。投資家の多くは私たちのような一般の個人です。Facebookの上場は、株式投資が多額の利益を得るチャンスがある一方、大きく損をする可能性もあるハイリスクな投資方法であることを改めて広く知らしめました。同時にザッカーバーグ氏や役職員には、株価回復を何よりも優先した事業運営をするよう迫られています。

私たちが損失を避けるためには、単なるイメージに流されず、投資先のその時点の株価が高いのか安いのか冷静に分析・判断して投資を行うことが必要不可欠です。企業の株価を分析する方法は様々ありますので、投資に関心がある皆さんは良く学んで、賢い投資家を目指してもらいたいと思います。

Facebookの株価推移

折れ線グラフが株価、棒グラフは出来高
横軸は日付、縦軸は米$(株価)、百万株(出来高)

生活経済コース/ファイナンスII