格差社会の虚実

ジニ係数が上がっているから「格差社会」!?

「格差社会」という流行語はちょっと曖昧なコトバです。なぜなら、語る人によって「格差」の意味が違っていたり、なかには事実に反する誤解もあったりするからです。次の図は、日本におけるジニ係数の推移を示しています。

ジニ係数とはある国の所得分配の不平等度をあらわす尺度で、値が大きくなるほど貧富の格差が広がっていることを示します。図を見ると、1979年から2004年まで、日本のジニ係数は一貫して上昇していますね。つまり、日本は「格差社会」になっていると言えそう(かな!?)

年齢別ジニ係数から見えてくるもの

別の角度から考えてみましょう。次は、年齢別ジニ係数の図です。二本の曲線が描かれています。ほとんど重なっているからわかりにくいけれど、濃い線が1999年、薄い線が2004年です。

右上がりの線は、年齢が高くなるほどジニ係数は上がることを示しています。同年代の人と比べると、若い頃(30歳未満、30歳代)には稼ぎの差はそんなにないけれど、歳をとるにつれて差は大きくなっていき、高齢者層(60歳代、70歳代)で最大になります。高齢者層では多くの人が定年退職して年金生活に入りますが、ごく一部の人だけは高額所得の身分で働き続けるからです。

さて、繰り返しになりますが、二本の線はほとんど重なっていますよね。つまり、年齢別に見ると、ジニ係数はほとんど変化していません。じゃあ、なぜ、(最初に見たように)日本全体のジニ係数は上昇しているのでしょうか?

答は・・・人口の年齢構成が変わったからです。次の図でそれがわかります。

1984年→1994年→2004年と、人口に占める高齢者層の比率がどんどん上がってきたことがわかるでしょう。日本は急速に高齢化しています。そして、これが、ジニ係数上昇の主因です。つまり、もともと貧富格差が大きい高齢者層の人口が増えたために日本全体のジニ係数は上昇したのです。

それでも、確かに言えること

しかし・・・そんな説明では納得できない!と若い人たちは言うでしょう。

そうです。実は、若者にとっての「格差」は確実に広がっているのです。年齢別ジニ係数の図の左下に注目しましょう。若年層のジニ係数は確実に上昇していることがわかります。これは、非正規社員(フリータ等)の数が増大しているからです。さらに、日本には、国際的に見ても異常な世代間格差や、特殊な労働市場慣行がもたらす世代効果などというやっかいなモノも存在します。若者にとって、この国はまさに「格差社会」なのです。
さて、その実態は・・・?

現代経済分析コース/計量経済学/経済情報処理演習II