2005年7月アーカイブ

絶望的な社会?

ある中国語サイト(の日本語訳)kakusashakai(絶望的な社会)からの引用(文意はそのままに、字句を少し訂正)

「過去の人は、『裕福な人は先に裕福になっただけであり、日本経済の発展にともない、みんなが裕福になる社会が実現する』と考えた。しかし現在、人々は階層の分化をますます深刻に考えています」 東京大学の社会学者、佐藤俊樹は言う。貧富の分化は日本では独特の「名前」をもっている:kakusashakai(絶望的な社会の意味)である。多くのデータが、分化がだんだん明確になってきていることを証明している。
しかし、貧富格差の国際比較では、日本は未だ?、G7先進国中、ドイツに次いで二番目に平等な国。また、時系列で見ても、近年になって所得格差が急拡大した証拠はない。2003年の国民一人あたりGDP(100USドル)は、米国 377.6、日本 337.2、中国 10.9(IMF "WORLD ECONOMIC OUTLOOK Database, April 2004")。1ドル=110円でおおまかに換算すると、日本人の平均年収 371万円、中国人の平均年収 12万円。この差が埋まることなどありうるかという問いはさておき、佐藤が指摘しているのは、圧倒的に高い平均所得のもとで、相対的な格差(所得分布のばらつき)が徐々に拡大しているという、(考えてみれば)贅沢な悩み。平均年収12万円の社会で、フリータが「不精者」としか捉えられないのは無理もない、とも思うけれど、上海にも Neet はいるというし、だいたい、英国の一部の中国人留学生の豪華さはなんなのでしょう(もちろん、まじめで質素な方も多いですが)。

ビザ、帰国予定

ビザ(Academic, 一年)の期限切れにあわせて、滞在延長はせずに、8/31(9/1関空)帰国ということにしました。イギリス入国(2004/Sep/01)から出国(2005/Aug/31)までちょうど一年、渡英時に購入した往復旅券も使えます(渡航費の節約分は大学にお戻しします)。帰国後の雑務を想像してさいきんうなされたりするのですが(うそです^^;)・・・共同研究プロジェクトではほんとうにご迷惑をおかけしました。英語での講義、(お申しつけをいただければ)やらせていただきたく存じます^^(そのかわり、「世界市民」を免除に・・・^^;)。

ところで、英国のビザ=入国管理のことだけれど、911 以後きびしくなったということで、渡英前に東京の英国領事館へ直接行って、もらってきた(発行手数料は1人あたり7500円)。東京が歴史的な昼間温度を記録した日、朝一番に行って6時間ほど立ちっぱなしで待たされ(狭い部屋が申請者で満杯で立錐の余地もない状態)、渡英前からすごく消耗したことを覚えている^^(ある日本人ビジネスマンが待合室で大声で怒り狂っていた。郵送申請も可能だったが、待てど暮らせどビザが届かず、結局、渡英直前に直接東京まで取りに行ったという人の話を聞いていたので)。繰り返すが、911 以後に入国管理を厳しくしたということだったので、これはまぁ仕方ないかと思っていたのである。が、例によって例のごとく、こんないいわけは全くのウソだった^^;東京で「13か月のビザがもらえないか」と聞いた時には「911以後厳しくなったので絶対にダメです」ということだったのに、こちらに来てからわかったことは、こちらの Home Office に「手数料」を納めれば延長可能だということ。で、この「手数料」が、ハンパな額ではない(英国 Home Office のページ)。郵送申請の場合には1人あたり£335=6.7万円。でも郵送申請は例によってアテにならずパスポートを紛失したという事例があとをたたないらしい。Home Office へ直参した場合には、premium service とやらで、1人あたり£500=10万円!の「手数料」(ちなみに 日本の場合、在留期間延長手続の手数料は 4000円)。つまり何のことはない、911を口実にカネもうけの算段をしているだけのこと。留学生の常套手段(期限切れ直前に出国して観光ビザで再入国)も、呆れたことに、従来どおり(現場の裁量で)通用しているらしい。どうでもいい他人事ですが、まったく・・・(逝ってます^^);

テロ・移民

ロンドン爆破テロ実行犯が特定され、リーズ(マンチェスタの北東)に住むムスリム青年4人の名前が発表された。CCTVに写ったテロ実行直前の4人はまるでピクニックに向かうように談笑しており・彼らはロンドンからの帰りの鉄道切符を購入済で身分証明書や銀行カードなども携帯していたこと等から、実行犯たちは自爆テロのつもりではなかった(黒幕に騙されて爆弾を運搬しただけ)との見方が有力に?(黒幕は英国諜報機関MI5/MI6ではないかという陰謀史観まで登場)。思い起こすに8年前、マンチェスタの北東(リーズに近い Oldham あたり)では、パキスタン系ムスリムとイギリス人のいざこざが頻発していた記憶がある(BBC サイトの移民分布図を見ると、インド系はバーミンガムの東あたりに、パキスタン系はマンチェスタの北に集中)。Economist(Jul/16)では、ドイツにおけるトルコ系、フランスのアルジェリアン、英国のパキスタン人と特定した上で、彼らの中からジハード戦士が育つのはなぜかという問いに、単純な答えは見つけようもないとしながらも・・・移民の子・孫、移民先の国の文化から隔絶された内部社会(ghettos)で育つ、30歳未満で十分な教育を受けている、彼ら自身は中流階級・だが周囲の同胞は貧しい、家族と離れて生活・イスラムの厳格な教えにはむしろ従ってこなかった等々という条件をあげて、こんな若者がある日突然、イスラムが世界を統一するユートピアの教えに取り憑かれるのだという事例研究を紹介。 また、「英国 移民 職業」でググると、日本人によるこんな研究が見つかった。これによると、やはりパキスタン系は、下層滞留の傾向がもっとも強い?(こちらで日本の方の研究を引用するのも、ちょっとナニですが^^;)

移民については、BBC のアンケート調査(2002年5月)を発見。調査結果 によると、白人(イギリス人)のうち半数近くは「英国は移民を歓迎する」としながらも、過半数は「移民は英国に貢献しない」と回答。さらに、過半数が「移民は英国に溶け込もうとせず」、半数近くが「この50年間、移民はイギリス社会にダメージを与えてきた」と回答。 さらに、あるイギリス人女性(ベビーブーマ世代=団塊世代)の話(もちろん個人的な「オフレコ」の会話)。移民のおかげでイギリスの Health と Education はズタズタ・20年以内にイギリス人がマイノリティになってしまう・あなた興味があるならこの人の文章でも読んでみてはということで、Enoch Powell という名前を教わった。帰宅して再びググると、たとえば The Road to National Suicide 凄いタイトル^^;30年前(1977年)の講演記録 -- 移民問題に関しては自由にモノが言えない風潮があるが、私はあえて言う。現在の移民政策の行き着く先は英国内主要都市での背筋も凍る内乱である、といった内容。

BBC日本特集・留学生

最近の BBC は、日本にちょっとご執心の様子。 Japan racism 'deep and profound' Japan mulls multicultural dawn などなど。最初のは、たった9日間の取材旅行をもとに批判されてもね・・・。それと、ソニーは未だ日本企業だったですか^^;この利益を代弁?して、日本人エコノミストが大移民政策推進を唱えておられるようです。

ところで、イギリス人一般の日本への関心は、当然ながら何よりもまず、これからもずっとイギリスにおカネを落としに来てくれるかどうか。直接聞かれたことがあるが、留学生に関しては確実に減っていくだろうと言うと、信じられないという顔をされた。でも減っていくと思う。ある人から聞いた話。以前は、20代後半から30代の単身留学が多かったが、こうしたタイプは最近めっきり減って、ほとんどが20代前半の若い人たちらしい。つまり、働いて貯金をして自己資金で留学にくる人の数が減っている。日本国内では、ここ10年のあいだに、若い人が decent な仕事にありつける割合は激減したはずだから、なるほどとうなずける。それに変わって増えているのは、親の支援で留学する若い人たち。こういう若い人の数も確実に減っていくはず。子供を海外にやれるほどの貯蓄を持つ世帯の数は減っていくだろうから。

British stoicism

昨日(7/7)は朝から12時間ほど、うちのテレビつけっぱなし。 The 2012 Oiympic Games are awarded to the city of London! の歓喜の瞬間が、一夜明けても繰り返し放映されていて、私も飽きもせず繰り返し見ていた(こういう時のイギリス人たちの、一体になってはしゃいでいる様子、なんとなくスキなんです^^)。と、突然、画面が変わって London Blast 。最初は、地下鉄の電力サージが原因と出たが、ほどなくテロと判明。ブレア首相の会見、We will never be cowed. テロを particulary barbaric と非難、ロンドンの人たちの stoicism を賞賛。この stoicism という単語、夜には "British stoicism" というフレーズに変わって繰り返し引用される。Rudolph Giuliani(9/11当時のニューヨーク市長)の condolence、「British stoicism に感じ入りました」。今日はイギリス人とあうので、私も使ってみよう^^。

ps. 今日の首相スピーチでは fortitude (不屈の精神)というのも出ました。なお、こちら時間の当日夜には大学(もちろん桃山学院大学)から安否確認の問い合わせあり。スピード事務処理に少し感動。未だよく歩けないので最近ロンドンへは行ってません。捻挫がなかなか治らず、未だに limp で少し不安。まぁ歳の分だけ回復も遅いのでしょう。

BHPS at Colchester

Colchester の Univ. of Essex で開催された BHPS2005 という学会に行ってきた。まだちゃんと歩けないので、妻に車で連れていってもらった。統一テーマはないが、well-being に関する報告が多かった。BHPS アンケートの質問項目に、life satisfaction に関するものがかなりあって、これらを活用した分析。なかでも、Economics of Smoking 、これは面白かった。サマリーを読んでいて笑ってしまった(結構、身につまされる感じもしたから^^;)。報告者の説明によると、従来の議論は、タバコ中毒になると自分の消費行動について合理的な計算ができなくなる・だから政府がタバコに重税を課して消費を抑えてやることは人々の幸福に寄与するというもの。でもこの人は、BHPS の膨大なデータから、逆の因果関係を検証した(と言う)。すなわち、人々がタバコを吸うのは精神的なストレスが原因。政府がタバコの値段を禁止的に高めると人々の効用をかえって低下させるおそれがある(ウンウンと頷く^^;)。

そういえば、タバコの値段はイギリスでは£5(約1000円)。これがノルウェーあたりに行くともっと高くなる(オランダのセミナーでノルウェーから来た人に聞いたが正確な数字を忘れた・とにかく、目が飛び出るほど高い)。ノルウェーくらいまで高くなると、喫煙習慣を根絶しようという政策担当者の真摯さを感じるが、イギリスのように中途半端な?高さだと、かえって政策担当者の「セコさ」を感じてしまうのは私だけ? つまり、嫌煙論議の高まりによりタバコに課税しても文句は出ないのだが、しかし、禁止的に高くすると、ホントに人々がタバコをやめて税収が消えてしまう。そこで、タバコ需要の価格弾力性をにらみながら、「取れるところから取れるだけ取る」というセコい最大化計算をしているのではないかと・・・^^; なお、スモーカの私は、Euro 圏内へ出るたびに安いタバコをまとめ買いしている(channel shopping)。マルボロ20本1箱が、ポルトガルで 2.3 ユーロ、イタリアで 3.7 ユーロ、オランダで 4 ユーロ。昨年まで、(EU の精神に反して)イギリスはタバコ等のEU他国からの持ち込みに一定の上限を課していたのだが、この上限は、昨年、実質的に廃止されている。私にはもう必要はないけれど、イギリスに長期滞在する予定の愛煙家はポルトガルでまとめ買いをするのがもっとも安上がり。

ところで、三泊四日の学会だったので、Colchester 近くの B&B を泊まり歩いた。最初の日、飛び込みで入ったド田舎の B&B の受付、久しぶりにズブズブの田舎?訛りで話す女の子、「スップリ・スップリ」と何度も繰り返すので何のことかと思ったら、自分の住んでいる町の名前 Sudbury を地の訛りそのままで言ってる、そんなものをわかるはずがない(いや、わかる人にはわかるんでしょうが^^)。「うちは満杯なので知り合いのところを紹介してあげる」と親切に電話してくれたのはよいのだが、「英語をよく話せないカップルが行きますから」と電話先の相手に話してやがる^^;殺したろか・(標準)英語を話せないのはおまえじゃないのか^^;

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