銀行の巨大化

Economist May/20 国際銀行業のサーベイ。bank-eat-bank のプロセスが世界中で進行中。銀行はなぜ巨大化するのか。教科書的には、規制緩和・技術革新を背景にした、規模の経済や範囲の経済の追求。でも、これらがどこまで効いているのかは実はよくわからない。そこで、第三・第四の理由。経営者の野心、もしくは乗っ取られる前に乗っ取る戦略。さらに、巨大化すれば立法府に影響力を持てるし、政府が助けてくれもする("too big to fail")。2004 年の世界ビッグ4(資産総額)は、UBS(スイス)、Citigroup、みずほ、HSBC(英)だが、2005年10月に誕生した東京三菱UFJ は UBS を上回り、現在のところ世界一位。また、90年代までは、世界トップ10の過半を日本の銀行が占めていた(例えば1995年には2位から8位まで、三和、住友、第一勧銀、富士、さくら、三菱、農林中金)。 一方、通産研究所の国際競争力分析によると、アメリカの銀行は、日本の銀行の二倍以上の労働者を雇用し、日本の銀行とほぼ同じ物件費を使って、日本の銀行の三倍の付加価値を生み出している。一言でいうと、日本の銀行はとても不効率。この雇用者数については、日米で銀行員の賃金が同じとして、アメリカは日本の二倍。じっさい、Chase Manhattan のような「ホールセール型」銀行では、東京三菱(UFJ吸収前)と比べて、賃金はほぼ同じ、従業員数は二倍となるらしい。他方、Bank of America のように「リテール業」中心の銀行だと、賃金は東京三菱の半分、従業員数は5倍。通産研究プロジェクトの(この文書の)提言は、日本の銀行は、Bank of America のようなリテール型を指向して、雇用削減ではなく、賃金水準を見直すべき、というもの。

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このページは、eiichiが2006年5月28日 12:00に書いたブログ記事です。

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