増税は易、減税は難

A toll on the common man(Economist 7/1号)。先月ドイツで、付加価値税の<大>増税案が議会を通過した(16%から19%へ)。一方、法人税減税案はなかなか可決されそうにないらしい。根強い反対理由は、「やつら(政府)は、金持ちを利するために、貧乏人の財布に手をつっこもうとしている」というもの。ちょうど自分の講義でも、法人税の帰着問題をほんの少しだけ話したところだったので、興味を持った。法人税率と企業投資との負の相関関係に着目した、ある試算結果が紹介されている。企業投資が減少すると資本労働比率が低下して、労働生産性低下、実質賃金の低下が生じる。これを前提に、最近、ある論文で、次のような試算が行われたとか。1%の法人税増税は、0.8%の実質賃金下落をもたらす。さらに、隣接する他国が1%の法人税減税を行うと、自国で0.5%の実質賃金下落が生じる。この試算結果を適用すると、ドイツで提案されている25%の法人税減税は、20%の実質賃金増をもたらすことになる。この数字自体はちょっと疑わしいけれど、高い法人税は、おおかたの想定に反して、労働者を痛めつけるものかもしれないというのが、記事の結語。

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このページは、eiichiが2006年7月 9日 22:26に書いたブログ記事です。

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