「海ゆかば」(2)

というわけで、「海行かば」を演奏するのはなぜですか?という穏当なメールを、高校写真部同窓会と同期同窓会の二つの ML に送ったところ、いずれの管理者も適切な対応をしてくれた。私のなかではこれでなっとく。いちおう、問題点を以下のように整理。

出身高校の同窓会案内に、次の一文が掲載された ---「大先輩の『海行かば』を母校ブラスバンド部が演奏」。これには、次のような問題が指摘できると思う。(1) 曲が演奏されれば、この曲に付随する歌詞を想起しない者はいない。歌詞は、戦前の軍国主義日本を象徴するものであり、戦後日本が積み重ねてきた平和への努力とはまっこうから対立するものである。(2) この曲をあえて「鎮魂歌」と位置づける人がいるのかもしれない。しかしそれは、個々人の感性に依存することであって、おぞましい忌まわしい記憶がよみがえる人や、軍国主義復活の危惧を抱く人もいるはずである。さまざまな感性や価値観を持つ老若男女が一同に会する同窓会総会で、これを演奏することは不適切である。(3) とりわけアジアや世界の他国の人たちに不快感を与えかねない。と同時に、日本はふたたび軍国主義の道へ進むのかという誤解を増幅させかねない。(外交カードではなく)文字通りの「日本人の歴史認識の甘さ」がふたたび指摘されかねない。日本をとりまく軍事的脅威・政治経済的脅威が高まる現状で、隣国他国の不信感をいたずらに煽ることは、我が国の将来に重大な実害をもたらす危険性が高い。(4) 物事の真理を見きわめようとする努力がいかに大切かを教え諭す、高校教育の基本理念はここにあるはず。しかるに、高校生にこの曲の背景を十分に説明して咀嚼させることなく、安直に、この曲を受け入れさせ演奏させているのなら、それはやはりおかしいと思う。

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このページは、eiichiが2007年6月10日 13:07に書いたブログ記事です。

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