ここしばらく、DPD(Dynamic Panel Data)の分析を試行中^^。あわせて、いくつかの統計ソフトの使い勝手を比較秤量。というか、このあたりの新しい推計手法をそのまま実装しているのは Stata だけなので、必然的に、R でデータ加工 → Stata で推計 → 計算結果を R で再加工してグラフ数表などを作成、という作業工程に^^(ヒマでもう少し若い頃なら R パッケージの自作にチャレンジしたかもしれんけど)。
推計作業の前後に R を使うのは、Stata のプログラミング機能や内部コマンドをよく知らないから(ただそれだけの理由)。こんなのは、良質のガイドブックがあれば一週間ほどでマスターできるはずだけど、その一週間が面倒なのと、どうも Stata に関しては良質の解説本が見つけられない。マニュアル原本とにらめっこ、ぼやきながら時間をかけて、必要なコマンドを見つけていく^^。たとえば、変数のラグをとる「演算子」は L 。L(1/3).GDP とやると、GDP(t-1), GDP(t-2), GDP(t-3) の意。あるいは、すべてのコマンドのオプションに if を用いることができて、if abs(something)>2 などとやって異常値除去、if Year>1990 などで標本期間変更。どうせ解説本を出版するなら、こういうことをまず最初にまとめて書いておいてほしい。どうも、日本語の解説本はこういうところの配慮が足りないように思う(*)。
なお、先月購入したばかりの TSP の新バージョン。昔から愛着のあるソフトだし、パネル分析コマンドを大幅に改善という宣伝?だったので期待してたんだけど、やっぱり力不足かも(B.Hall と C.Cummins の共同作業だけでは限界があるのかも?)。それから R については、そもそも経済学の人間は一般に R を使わないというのが、やはり致命的。本音を率直に言えば、こんなことはハナからわかってるんだから、R で計量経済分析をやるなんて、やっぱりありえないんだ^^。学部の講義で R を使う理由は、プログラムがとっつきやすくて簡単、即席でプログラミングの面白さに飛び込めそう、あわせて、フリーウェアだから、などなど。大学院の講義用には、そろそろ Stata も入れておくべきなのかもしれませんね(たぶんアカンと思うけど、いちおう情報センタにお願いしてみましょう^^)。
そうそう、前にも書いたけど、イギリスでは、スコットランドでもロンドンでも、みんな、Stata を「すていた」と発音してました。
追記 Sep/25) (*) もうすこし率直にいうと、経験に乏しい人の解説は有害でさえある。たとえば、ラグ演算を、まったく別個の処理(ひとつ前の観測値を指す [_n-1] )で済ませてしまっている日本語の解説書がある。パネルデータの場合に、ラグ演算子でなく _n-1 を用いると破滅的なことになりかねないけれど、これ、ほんとにわかってないのかな?