悪貨は良貨を駆逐する

言わずと知れた「グレシャムの法則」。金を多く含む「良貨」と少ししか含まない「悪貨」とが、同一名目価値で発行されれば、良貨は人々の手元に残り、悪貨のみが流通するようになる。しかし、グレシャムの法則は、この本来の含意から離れて、悪人が世にはびこることのたとえに使われることが多い。たとえば、Wikipedia によると、古代ギリシアの昔に、劇作家アリストパネスという人は、「この国では、良貨が流通から姿を消して悪貨がでまわるように、良い人より悪い人が選ばれる」 と記したそうだ。 では、「良い人より悪い人が選ばれる」のはなぜか。その理由は千差万別で、おそらく、貨幣の場合の説明ほど容易ではない。しかし、多くの場合に共通するキーワードはやはり、(1) 情報の非対称性(選ぶ側の情報劣位)と、(2) 性善説(選ぶ側の純粋無垢)だろう。

たとえば、今年の演習募集状況。まさにこの法則が貫徹していると言わざるをえない。自分自身が正規に学んだこともない専攻名をテーマに掲げ、自分自身ができもしないことを教えてあげると嘯く、こんな「悪い人」の演習に学生は集中する。一方で、「良い人」、とりわけ若手教員のゼミへの登録者数は、軒並み、数名。「軒並み」ということは、こうしたモラル・ハザードを易々と見過ごしているシステムに問題があるに違いない。あまつさえ、少人数教育を標榜しながら25名を超えるゼミがあるのは何事かと、大学基準協会から痛い指摘を受けたばかりなのに・・・。

とまれ私は、こんな「悪い人」がどんな風にして、日常生活の安寧と心の平静を得ているのかを知りたい。私のほうは、こんな人の振る舞いに戸惑い憤り怒り、血圧がますます上がる毎日だから。

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このページは、eiichiが2007年12月24日 19:48に書いたブログ記事です。

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