流行歌で綴る昭和経済史

『流行歌で綴る昭和・平成経済史』 社会学などにはもっと本格的な研究もあるんだろうけど、マクロ経済学者がこういうことをやりはじめたのも面白い。『青い山脈』の歌詞から、「民主主義は外から与えられたものか・戦前からあったものか」という問題を引き出したり、『スーダラ節』にひっかけて、「無責任男」は好況期に現れるといった説明はおもしろい(もっと敷衍してほしいところ)。三番目に取り上げられている『あぁ上野駅』からの推考も面白い。高度成長期に歌われた「勤労の歌」に対応するものが、現在の日本には見あたらないということらしい。いわく ---- 『若いおまわりさん』『新聞少年』『月の法善寺横町』、みんな労働の哀歌を歌っているが、就職氷河期は新しい勤労の歌を生んでいない。高度成長期には苦労は報われるという確信があったが、現在にはないようだ。つらい修行に耐えれば道は開けるといった「でっかい夢」は、修行という訓練プロセスを欠いたフリータではもはや形成されないのだろう。---- たしかに、具体的な職業を例にとって地道な努力の大切さを諭す歌は見あたらないのかも(『アテンション・プリーズ』あたりが最後?)。抽象的な、人生の応援歌の類(『ボロは着てても心は錦』型のスピリット)は健在だと思うけれど^^。

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このページは、eiichiが2008年3月15日 19:49に書いたブログ記事です。

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