日本の貧富格差

留学生も受講している講義(経済学特講)では、今週・来週の二週間にわたって、日本における所得分配の話題をとりあげている。今週のポイントは次の三点。 (1) 「OECDの貧困率指標では日本は世界で二番目の格差社会」というような主張はおかしい。そもそも各国内での相対的貧困率を国際比較するのはおかしい(たとえば、日本の貧困層は中国の貧困層より明らかに豊かだが、中国の貧困率は日本より小さい)。また、貧困率の数値は(計算のしかたで)10%前後も変わるような性格のものだが、OECD が国際比較のために各国の統計資料を慎重に揃えているかどうか疑問。 (2) 「ジニ係数の増加に見られるように日本では格差社会化がどんどん進んでいる」というような主張はおかしい。つとに指摘されるように、ジニ係数の増加は社会の高齢化によるものであって、格差社会化とは無関係。 (3) 「小泉純一郎以来の保守政権が行った新自由主義?政策が格差拡大に拍車をかけた」というような主張はおかしい。貧困率は1980年代からほぼ一定、ジニ係数の増加も1980年代からはじまっている。

が、この話、実はほとんど反応がなかったのだ(涙)。ボクのプレゼンがまずいから?でも、「日本は格差社会だ」とか「日本はもうダメだ・これからどんどん貧しくなっていくぞ」とか言っても、「こんな豊かな国に住んで、なに言うてはりまんのん、わてら全然わかりまへんわ~」という感じもあるのでしょうか^^。

などと悩んでいると、OECD が最新の統計を発表したらしい。それによると、小泉政権以後の日本ではジニ係数も貧困率も低下している。もう来週は、準備した講義をやる意味がない。パソコン演習+ビデオ鑑賞に切り替えよう(この禁じ手を使い始めると、どんどん堕落していきそうな気も・・・^^)。

なお、鑑賞予定のビデオは、YouTube にも掲載されている Debunking third-world myths with the best stats you've ever seen。世界のフラット化(平均寿命、平均所得、所得分布の変化)をみごとなアニメーションで見せてくれる。プレゼンターはスウェーデンの学者で、英語もわかりやすい。

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このページは、eiichiが2008年10月24日 09:19に書いたブログ記事です。

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