昨晩、すごいテレビ番組を見てしまった^^。番組名も覚えていない(調べる気もない)が、10数名くらいの専門家が集まって、ニュースの裏の「真実」を伝えようという趣旨の番組。「ゴミの分別は不要」といった話は序の口で、思わずのけぞってしまったのは、「消費税を上げる必要はない」という「政治経済専門家」の話。なんでも、イギリスの付加価値税(17.5%)と日本の消費税(5%)の、税収に占める比率は、いずれも22%前後?でほぼ同じ(イギリスが生活必需品には課税していないのに対して、日本はすべての財に一律課税しているから)。日本の消費税負担率は既に十分大きい(だからこれ以上は上げるな)ということらしい。メチャメチャだ^^。 イギリス政府の毎年の赤字は日本よりはるかに少ない。健全財政を営んでいるイギリスの豊かな税収総額に占める消費税収の比率と、毎年赤字を垂れ流している日本の過小な税収総額に占める消費税収の比率を比較しても、意味がない。頼りになる比較例を他所から引用すると、たとえば、GDP に占める消費税収の比率 では、イギリス 11.1%に対して、日本は 5.3%。ちなみに、日本より消費税収の比率が低いのはアメリカだけだが、アメリカの場合には所得税収の比率が高い(税収動向の国際比較)。消費税負担も所得税負担も低い国は、日本だけ。 それにしても、この「専門家」の出した数字(「日本もイギリスも22%前後」)だが・・・イギリスの場合、税負担+社会保険料負担のGDP比がほぼ 50%となるから、これを分母にすると確かに 22%前後の数字が出る(税負担のみを分母にすると 30%)。日本の場合、税負担+社会保険料負担を分母にすると消費税収の比率は 14%足らずだが、税負担のみを分母にすると 20%強になる。つまり、分母を違えて、数字を同じに見せているだけではないか。これはもはや、数字のトリックとかなんとか言う以前の問題^^。
なお、この「政治経済専門家」は、以前には「消費税を上げないと日本の財政は破綻する」と論じていたはず。たしかに、非正規雇用が増えて貧富格差が拡大するなかで、逆進性の強い消費税の引き上げは庶民の生活を直撃する(ものすごくわかりやすい例)。税率を引き上げるなら、イギリスのように生活必需品非課税の方向で(あるいは累進所得税率の引き上げで)、という主張なら妥当とは思う。