歴史的大転換

経済評論家の東谷暁は、かつて、中谷巌をこう揶揄した(『エコノミストは信用できるか』文春新書)。

(中谷氏は)1990年に「歴史の勢いで日本経済の繁栄は続く」と述べ、1996年に「歴史的大転換」があったから日本経済はダメになったと論じ、2000年にIT革命は「大きな歴史の流れ」だから成功すると予想した。中谷氏が「歴史」という言葉を持ち出した時には、たいがい予想を間違う。なぜなら、中谷氏の「歴史」とは、「周囲の空気」のことだからである。あまりにいい人すぎて、周囲の空気に呑まれ、冷静な判断が出来なくなるのだろう。
その中谷氏の熱いマインドは、今また「歴史的大転換」を生じたらしい。ボクは、この人の新著(『資本主義はなぜ・・・』)を見たわけじゃないんだけど(見る予定もないけれど)、こちらのブログが怒っている。本の帯には次のキャッチが・・・
「新自由主義経済学」は悪魔の思想だ!!広がる格差、止めどない環境破壊、迫り来る資源不足、そして金融危機―すべての元凶は、資本主義にあった!「構造改革」の急先鋒と言われていた著者が、いま、悔恨を込めて書く警告の書。
この人が「構造改革の急先鋒と言われていた」かどうかは知らんけど、とにかく、そこまで入れ込んでいたモノを、ここまで全面否定してしまっては・・・。男の子に二言はなくはないが、反省とは、悪かった点・良かった点を慎重に整理して、次につなげることを言う。「広がる格差」は、本当に、「新自由主義経済学」の責任なんだろうか。規制を緩和して国際競争力を高めようとすることすら、「すべて」が間違いだというのだろうか。

まぁこの人は、東谷のいうように、周囲の空気を KY してるだけなんだろう。周囲の空気、たとえば、「○○主義から▽▽主義へ」という最近流行のフレーズ。こういうフレーズはものごとを単純化してしまい、思考を停止させてしまうのでは。。

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このページは、eiichiが2009年2月10日 01:20に書いたブログ記事です。

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