経済学の十大原理

人気のある経済学入門書(G.マンキュー「入門経済学」)に、「経済学の十大原理」と称された、10個の文章(命題)のリストがある。これはかなりよく知られているようで、たとえば、こちら(俺の独り言)の勉学メモや、こちら(高校生の経済学)の温暖化論者を批判する記事にも引用されている。 そこで、今日(月曜)の3限目ゲストでログインできます)に一回生相手にこの話をしようと試みた。が、どうも、しっくり行かない。いくつかの「原理」は、噛み砕いて説明するのが非常にむずかしい(たとえば、第3原理「合理的な人は限界的な部分で考える」や第4原理「人々はインセンティブに応じて行動する」など)。また、別のいくつかの原理については、内容自体が原理と呼べるほどに強固な支持を得ているのかどうか疑わしくも思える(第9原理「政府が紙幣を印刷しすぎると物価が上昇する」など)。 すこし調べていると、おもしろいパロディに行き着いた(十大原理の翻訳 A YouTube movie by the first and only stand-up economist in the world, PhD.^^)。これによると、ボクが説明に困った第3原理は、単に「人々はバカである」と言っているにすぎない。しかし第4原理は「人々はそこまでバカではない」と主張している。第9原理を含むマクロ経済学の原理はすべて、「なんたらかんたら」とテキトーに無視すればよい、ということだそうだ^^。 休み時間にこのパロディを楽しんでいたら、偶然にも、5限目に大学院生から比較優位のことを問われた。「比較優位説ほどに誰もが認める理論は他にないだろう」と問われたので、このパロディを紹介した。十大原理の第5番目は「取引はすべての人(の経済状況)を改善することができる」、これは比較優位原理に他ならない。しかし上のパロディによると、これの真意は、「取引はすべての人(の経済状況)を悪化させることもある」となる^^。この第5原理の解釈についてはスライド付きで「証明」がなされている。パラフレーズすると・・・

【証明 The Proof】 マンキューの原文 Trade can make everybody better off. これは、次の可能性を排除するものではない Trade can make some people worse off. さらにこれは次の可能性を排除するものではない Trade can make everybody worse off. 【証明終わり QED^^】
いわずもがなだけど、助動詞 can に注目。マンキューはなぜ will としなかったのか、これは謎である^^。

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このページは、eiichiが2009年6月23日 02:22に書いたブログ記事です。

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