このところ、締切まぢかの仕事に追われてまして、大学院勉強会は再来週からの再開ということでご了承ください(ここに書けば見てくださるはず、申し訳なくて直メールはちょっとしづらいので^^)。
さいきんネットで最低賃金の話題を拾っていて、なんとなく気になったことをメモだけ・・・。 経済学の余剰分析によれば、最低賃金の引上げは、(1)雇用を減少させる、(2)生産者余剰を減少させる、(3)消費者(労働者)余剰を減少させる。つまり、誰のためにもならない。注意したいのは、消費者(労働者)余剰は減少する、ということだ。古い教科書には、「雇用は減少しても賃金が増えるから消費者(労働者)余剰は増加する場合もある」と記しているものがある。ネット上に散乱する講義資料類もたいていは同じ説明をしているようだが、これらは余剰の損失を部分的にしか考慮していない(重要なポイントだから、簡単化のために省略したという言い訳が通じることでもないと思う)。余剰分析のロジックで一貫するなら、消費者(労働者)余剰は減少する。 なお、「生活を良くして経済を良くする」という(もうすぐ)政権与党の主張は、この場合には、(上とは違う枠組みで)次のようなフィードバックを想定したものなのだろう。つまり、最低賃金引き上げによりいったん雇用は減少しても、(A)労働者の総所得(=賃金×雇用)が増えるならば、(B)消費需要が増えて、(C)雇用はふたたび回復してくるかもしれない。(A)(B)(C)の三つとも定量的な分析が必要なはず。 さらにこうした議論とは別に、(生活に追われた?)労働者の非合理な行動を政府が諫めてあげるというパターナリズムな文脈で、最低賃金を正当化する議論もあるらしい(これはよくわからない)。