Money in Japan

翌週月曜一限の英語講義は、日本の資金循環表を示した後に、ごった煮の日本経済(概)論でもやろうかと思うんだけど・・・。まず、家計部門は高貯蓄・危険回避、企業部門は借入依存・従業員主権など。日本人の危険回避指向に関する文献が見あたらない(高貯蓄率を説明するものはいくつかある)。さらに、政府部門は大赤字で火の車、高い法人税率と低い所得税率・消費税率、生活保護を下回る国民年金。不効率な銀行部門を理解するキーワードはやはり護送船団方式。中央銀行は無為を批判されて久しく、また郵便局という巨大銀行兼巨大生保は民営化されたはずなのに最近は揺れ戻しが起きている。最後に、麻生太郎前首相の今春ロンドンサミットでの発言(「ドイツの首脳は経済学をよく理解しておられないようだ」)を引用して、マンデル・フレミングモデルの大枠を紹介しながら、「理解していないのは我が前首相のほうです・日本政府に成り代わり謝罪します」と言わねばなるまい^^。年明けは、ここまでに紹介した統計処理プログラムの詳細解説と最終試験でおしまいだから、今年の講義の締めくくりは "I apologize on behalf of our government" という一言になる。 それにしても、スライドを作成しながら、よくもここまでボロクソな講義資料になってしまうものだと・・・^^。価値評価については、自分自身のものは避けて、「誰それがこう言ってます」と引用を示すことにしているが、引用元がほとんど限定されているからかもしれない(英国系のエコノミストやFT、どっちもタカ派かな)。

数年前にこの講義をはじめるときに、ネタは他にもいくつか準備したんだけど、毎年やりきれずにスキップしてる(半期2単位ではスケジュールがやはりタイト)。まぁ、内容を10倍くらい薄めて簡単にして、来年春学期の「経済学」に使い回そう。でも今、この科目のシラバス作成で、参考文献(教科書)の指定にちょっと迷ってる。「経済学的思考のナントカ」とかいう行儀の良いものではなくて、「希望を捨てるナントカ」とか「貧困と愛国ナントカ」とか「世界は腹黒いナントカ」とか「丸山真男をひっぱたきたいナントカ」というのを指示したいんだけど・・・(実は、ボクの逸脱を見越した慧眼の教務サイドから、「(教職課程に関わる科目ゆえ)標準的な講義をせよ」と既にクギをさされてるんだな^^)。

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このページは、eiichiが2009年12月18日 16:20に書いたブログ記事です。

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