動学的最適化

マンキュー「マクロ経済学」第7版が好評のようだ。手元には第3版までしかないので、久しぶりにアップデートしよう。例によって円高差益を享受すべく、日米英の価格比較^^。日本の Amazon.JP では未発売(予約販売の段階で)8430円。米英では既に発売中だが、Amazon.USは送料込みで11931円、Amazon.UKは送料込みで7759円だった。当然、Amazon.UK に発注。概して、音楽CDや本は Amazon.UK が安い。英国ではVAT込み(17.8%の間接税、現在は不況対策の暫定措置で15%)の価格になるので一見高そうに見えるが、日本からの個人輸入にはVATがかからないから。代金支払いに日本の Visa カードを使うと、米英ともに最近は、即座に日本円での請求額を表示してくれるようになった。

ある書評によると、この新版では、動学的最適化理論の知識なしに最新のマクロ理論を学べるところが良いらしい。なんでも、「動学的最適化理論は大きな障壁」で、このために最新理論を知らない(中級以上のテキストを読めない)研究者や官僚が増えているそうだ。ぎょい。 とはいえ、この手のテクニックに関しては、昔からやさしい解説本がいくつもあるから、キャッチアップするのは、実はそんなに困難なことではないはず。ボクの知る限りで、ポントリャーギンの最大値原理(連続時間系の動学的最適化テクニック)を本邦で最初に使ったのは、フィリップス曲線のミクロ基礎を論じた西部遭教授ではないだろうか。現代経済理論に縁があるとは誰も想像しえない、かの保守の論客。だが、あの論文にも既に、数理分析をシニカルに見る雰囲気は読み取れて、「(このテクニックは)鞍点を見つけるだけのこと」という表現があったように記憶している。そう、たしかに、鞍点を見つけるだけの作業。ハミルトニアンと呼ばれる目的関数を微分して、ストック変数と補助変数との連立微分方程式(最適経路が満たすべき必要条件)を導く。これの位相図を描いて、一意の平衡点が鞍点になれば、一意の解(最適経路)が求まったことになる。モデルの解析は、この鞍点(平衡点)近傍で最適経路を線形近似して行われる。たいていはこれで事足りるから、この一連の作業を繰り返し練習すれば、誰にでも使えるようになる^^。ついでに、なんでそうなるのかという説明(十分性の証明)についても、やさしい解説がいくつもあって、ボクが修士課程の頃に読んだのは、かのアローが、クルツという財政学者と一緒に書いた公共経済学の本の数学付録。これは微積分の基本知識だけで読める。

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このページは、eiichiが2009年12月23日 09:54に書いたブログ記事です。

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