叔父(父の弟)が亡くなった(経済超特急を支えた無名のヒーローがまた一人・・・)。父の通夜に病身をおして来てくれたのがよくなかったのかもしれない。「兄貴、起きんかい!」と父に何度も呼びかけてくれていた。とにかく男気が強くて面倒見のよい人だった。二十年ほども前に心臓の大手術をした。退院時に「もうタバコだけは絶対にやめろ」と懇々と諭す執刀医の前で、「さてどの銘柄を吸おうか」と思いをめぐらせていたそうだ^^。
そういえば、戦時中に父がつけていたという日記を、幼い頃に見せてもらったことがある。なぜか、次の一節を鮮明に思い出した。
「兄さんが死んだ」と叫びながら、弟が駆けよってきた。「兄さん」とは大陸で戦死した二人の長兄だ。この「兄さん」の話になると、父は子供のように泣きじゃくることがあった。叔父もまた、最後の朝まで「兄さん」の写真に手を合わせていたそうだ。父も叔父もいま仏となって、「兄さん」に約70年振りの再会を果たしたことだろう。