GDP per capita

国民ひとりあたりGDP。GDP(国内総生産)は(ラフに)一国内で一年間に稼ぎ出された所得総額に等しいから、GDP per capita はある国の平均所得に近い指標だ。

20120428_ASC081.png 経済学の講義などでは、Wikipediaの世界ランキング表を大教室のプロジェクタで見せながら「日本はすでに豊かな国ではないのかもしれない」などとエラソーにのたまっているわけだけれど、先日(4月28日付)の英Economist誌の記事(こちら)には、あらためて、感慨深い?ものをおぼえた。購買力平価(均衡為替レート)で換算すると、日本は、既に、シンガポール・香港・台湾に抜かれている。2017年には韓国にも抜かれる(予定)。Economist誌のグラフは、日本の成長線が1990年を境にポキっと折れてしまったことを、まぁ鮮やかに、示している。
Economist誌といえば、日本通で知られた元編集長ビル・エモット氏。彼の迷フレーズ "The sun will rise again" は、日本の経済論壇の形勢が(そして、Economist誌の論調が)二転あるいは三転する都度に使われてきた。90年代中盤までは文字通りに「日はまた昇る」、つまり不況は一時的なものと多くの人が信じていた。97年の消費税率引上げ(橋本内閣)はこの楽観論に後押しされたものだが、その直後の大掛かりな財政出動(小渕内閣)でも景気が浮揚しなかったあたりから、不況は日本経済の構造に起因するものという認識が広がる。とはいえ、小泉・安倍内閣あたりまでは、構造改革によって「それでも日はまた昇る」と多くの人が信じていた。で、その後・・・(構造改革が頓挫したからという言い方も可能かもしれないけれど)なんにせよ、いま「日はまた昇る」と言える人はさすがにもういないのではないだろうか。Economist誌がこのフレーズを使うことも二度とないだろうと思う。

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このページは、eiichiが2012年5月 1日 21:11に書いたブログ記事です。

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