2012年8月アーカイブ

波及効果のまやかし(2)

さいきん、産業連関表の「波及効果」を「乗数効果」と勘違いしている(と訝りたくなるような)文章を、よく目にする。今日のはこれ(ママ)。

サービス経済化が進むなか、直接的な輸出自体は経済全体にそれほど大きなウェイトを占めてはいない。しかしほぼ同程度の大きさの間接輸出を国内各産業に誘発しており、例えば中部地域にいたっては生産活動の27.6%を輸出に依存しているのである。
最終財の「直接的な輸出」と、中間財を含む「生産活動」を「大きさ」で比較しても意味がない。トヨタ城下町の中部地域では輸出の恩恵は大きくなるのだろうが、それは他の地域ではずっと小さくなっているからだ。産業連関表の枠内では、輸出がもたらす付加価値額の経済全体での合計は、かならず、もとの「直接的な輸出」以下になる。

ついでに、同じ文章の後半部(震災後のサプライチェーン寸断の分析)も、ちょっと、いただけないなぁ。そもそも算式の記述が未熟でモデル自体が曖昧なんだけど、与件と内生変数が途中で入れ替わっていないか^^。まぁでも、これ以上に具体的なことをここに書くのはやめておこう。テーマじたいは算数の問題としても面白そうだけどね。

ところで、先日、なんとか産業連関分析学会というのが未だに存在していたことを知り、ちょっとビックリ。20年ほど前に慶応大産業研究所S先生の講演に感動して入会したものの、数年後に第一世代の先生たちは引退され、その後に「ビジュアルBasicプログラミング講座」なんてのが「学会誌」に連載されはじめるに至って、ボクも退会した。当時はまぁ数年後には消滅していそうな学会に思えたものだったが・・・あにはからんや^^。

原稿をしあげるために^^隠遁生活に突入・・・のつもりだったが、やっぱり世間の動きが気になってテレビやネットから逃れられない(【尖閣上陸「違法」逮捕で日本政府へ賠償請求】に腹をかかえて大爆笑、【韓日スワップ中断でも我が国には影響なし】ホントならそれでいいじゃん、とか^^)。気が散って一向に捗らないので、気晴らしに、以前から気になっていた日韓貿易収支のデータを調べてみた。

対韓貿易収支は、総額では2〜3兆円の「慢性的な」黒字だが、2011年中に輸出超(黒字)と輸入超(赤字)の額がめぼしい業種(大分類)をとりだしてみた(縦軸の単位は10億円、2011年の貿易収支トータルは2.2兆円の黒字)。数十年来の「トライアングル構造」(なつかしい響き^^)が見えてくる。つまり、日本製の機械や部品や素材を使って、韓国は最終財を作り、諸外国に売りさばく。

* 韓国から世界への輸出が1%増えると、韓国の日本からの輸入は0.99%増えるという単純推計もある(日韓経済関係の基礎資料(ジェトロ)、自分で確認してみるほどヒマではないが・・・)。まぁ、韓国は相変わらずの「お客さん」と言えるのかな。ちなみに、所得収支も1724億円の黒字だが、サービス収支だけはトータルで3634億円の赤字(財務省地域別国際収支)。韓流サービスはたしかに日本で稼いでいる。サービス収支の内訳は財務省統計ではいまひとつ不明だが、旅行収支が1100億円の赤字、「文化・興行」はこれより大きい赤字だろう。ただし、特許使用料収入等は600億円ほどの黒字であり、ジェトロの資料でも技術貿易は日本の600億円ほどの黒字(※2006年)となっている。

なお、このグラフの元データは、財務省貿易統計サイトの国別概況品別表である。こちらから入って、2011年12月分の輸出表と輸入表、それぞれのcsvファイルをダウンロードする。少々煩雑そうにみえるcsvファイルだが、以下のようなコマンドでカンタンに処理できる。

awk '{if($4==103) print $1,$3,$7;}' export.csv > ex.csv
!!:gs/ex/im
cat ex.csv im.csv | sort -k2,2 > t.csv
awk '{if(substr($2,2,1)==" ") print $1,$2,$3}' t.csv | paste -d , - - | awk '{print $2,$3-$6}' > t1.csv

財務省のサイトからダウンロードしてきた元のファイルは export.csv と import.csv のふたつ。これらから対韓国分(国コード103)だけをぬきだし(1行目と2行目)、ふたつのファイルを連結して品目コード別にレコードを並べ替え(3行目)、コード番号1桁の大分類品目のみぬきだして同一品目の輸出額と輸入額を1行にまとめた上で、品目ごとの貿易収支を計算して書き出す(4行目)。

最近は官庁統計もずいぶんと整備されてきたが、こうした技法はいぜん(ますます)有用だ。たとえば、韓国だけなら手作業でなんとかできても、世界の他のいろんな国についても同様のグラフを描きたいという場合を想像すればよい。上のスクリプトなら、国コード番号をかえて繰り返し適用するだけで済む。官庁統計にかぎらず、ネットにあふれるさまざまなデータを効率的に処理するために欠かせない道具だと思う(んだけど、なかなか講義などではね・・・)。

反日有理愛国無罪?

各紙の伝えるところによると、韓国大統領(李明博)の竹島上陸は、政権末期のレームダック状態のなかで、派手な「反日愛国パフォーマンス」により求心力回復を狙ったものらしい。

「愛国心は卑怯者の最後の砦」などと言う。この場合の「愛国心」とはメタファーで、要するに、誰も反論できないような何か、多くの人が同意せざるを得ないような曖昧なスローガン(のようなもの)を指すのだろう。日本では、さしずめ「反原発」といったところか。真摯に反原発を唱える誠実な人はもちろんいるけれど、そんな人たちとは似ても似つかず、単に「反原発」にかこつけて自分の商売をしたいだけの「卑怯者」もいる。

ロンドン五輪の男子サッカー3位決定戦は、兵役免除のために必死の形相でラフプレーを続ける韓国選手の姿が見るに耐えなかった(ボクは前半を見終えたところでテレビを消したのだ)が、兵役免除を必死で求めるあの姿は「愛国」とはちょっと違うように思う。試合後に「かの島は我が領土」などと書かれたプラカードを持って走り回った選手がいたそうだが、翌朝にあの写真を見た時には、金ナントカの葬式で号泣する北朝鮮の人たちの姿がだぶった。

それにしても、此方の無為無策?には疑問が・・・。日韓スワップ(韓国への外貨供与)協定の見直しだとか、韓国国債の売却や対韓輸出制限といった「経済制裁」を主張する人たちもいるけれど、実は、わが国の対韓貿易収支はずっと黒字なのだ。インフラ整備から半導体の作り方まであらゆる面倒をみてきたけれど、いまだに独り立ちできないナントヤラで、助けてやるのをやめたらこちらにも火が飛んでくるかもしれんという危惧も?

関連して、今日、慰安婦問題に関する専門家のわかりやすい解説ビデオを見たのでメモしておこう(従軍慰安婦は存在したのか)。西岡教授の本は何冊か買ってずっと積読状態だったんだけど、ようやく流れがつかめたように思う。なお、この機会に、日本の若者は「ライタイハン」のことも知っておくべきだ(ライタイハン(Wikipedia)ライタイハンとは何か)。

授業評価アンケート

共通教養の「経済学」。今年度かぎりで担当をおりるので、まぁ最後に一回だけと思って、授業評価アンケートをとってみた。集計結果が届いたので、完全匿名の自由記述コメントから一部引用(文章はそのまま)。

  • 先生怒りすぎ
  • 私語をしている輩はてっていてきに弾圧し退室命令をくだすべき。
  • プリントを用いながらの授業はとてもわかりやすく、理解しやすかったです。しかし、肝心のプリントの方の内容が見ただけでは個人的に理解しにくい。後、授業中にしゃべっている人の対処については無言で近づき、生徒手帳をださせるなどしていただいた方がありがたいです。
  • 経営学の先生にも見習ってほしい。わかりやすく、良い授業でした。たまに、席によっては見づらいスライドもあったが、私はあまり問題なかった。
  • よく私語を指摘されておりましたが、10分も遅刻なされる先生もどうかと思いますよ。どちらも授業妨害に変わりありません。遅れてゴメンの一言もないし。モニターに映している紙に書いた字も小さかったりして見辛いし。授業内容はわかりやすかったです。

あらためて言うまでもないが、「授業評価アンケート」などは何の意味もないことだ。10年ほど前に「いつも同じ服を着てくるな」というコメントを頂戴したが、記憶する限りでこれが唯一の有益なフィードバックだった。ほんとうに「授業評価」をさせたいのなら、匿名をやめて記名式にせよ。一部の優秀な学生を除いて、多くの者は、匿名だから(つまり、自分が何者かを特定されないから)平気で私語もするし、平気でウソの不平もでっちあげるのだ。ケータイやPCからのWebアンケート方式にすれば、担当教員に対しては匿名のままでシステム管理者には学籍番号が同定できるし、現行システムの数百万円/年に及ぶムダな費用も節約できる。その費用で、大講義教室に座席指定システムを導入すれば(あるいは単に、大教室講義をなくせば)、私語の問題などは消滅する。

なお、5年間にわたって改良を重ねてきた「経済学」の講義内容については、どこの大学の教養経済学にも負けない自信がある。講義資料を全部、学内外に公開してきたのは、もちろん、「落ちこぼれを少なくする」とか「学習意欲のある学生に発展学習の機会を与える」とかいう狙いによるものだが、然るべき人に然るべき評価をしてほしいという意図もあってのことだ。

東京出張、五輪観戦(続)

女子レスリングは圧倒的な強さで世界を制覇。会場に静かに流れる君が代の斉唱は、実にここちよい。小原・伊調・吉田はいずれも中京女子大の出身。一子相伝のレスリング奥義は、名古屋の地で脈々と継承されているらしい。柔道も、そろそろ、本拠を天理から関東に戻すべきでは? 東京青山のホテル内で、吉田の三連覇達成に続いて、予定通りに(明け方6時まで^^)、なでしこの決勝戦を観戦。勝機はこちらにあったが、決めきれなかったのは、やはり、執念の差か。今回は「銀でも十分」という甘え?がファンにも選手にもあったのでは・・・。澤はこれで代表を勇退するのだろうが、主力メンバーの大半も4年後には30歳前後になる。女子サッカーは発展途上で、アメリカですら、チカラ任せのプレーが主体。今後、世界中にもっと普及して技量も向上していくなかで、なでしこは現在の世界ランキング(3位)を維持できるのだろうか。。

なお、公務出張のほうも、もちろん、ちゃんとお勤めを果たした。いくつかのおもしろい研究報告。まず、学習管理システムを、別の解答評価システムやスマートフォン向けアプリ作成ツールと連携させる試み(日大や関大)などは、本学でもすぐに応用できそうな感じ。それから、Javascript(慶應SFC)やPHP(静岡理工科大学)などをプログラミング教育の中心に据えているという報告も興味深く拝聴した。自宅学習をうながすクラウド環境整備(名城大理工)などもおもしろかった。

昼の休憩時間に、会場隣の靖国神社へタバコを吸いに行った。千代田区は路上喫煙禁止だが、神社内には喫煙所が整備されている。ついでに、ここまで来たのだから「花嫁人形」を見て帰ろうと、遊就館に入る。遊就館に花嫁人形?結婚せずに死んでいった息子のために親御さんが購入したものが陳列されているのです。個人的には、遊就館のなかではいちばん印象深い展示物。

ところで、世界が五輪に浮かれている間隙をぬって、韓国大統領が竹島に上陸したらしい。なんの因果か、男子サッカーも女子バレーも、最後の最後に、韓国との三位決定戦。またぞろ「祝震災」などという垂れ幕が掲げられるのではないかと心配したが、男子サッカーでは、案の定、韓国側のラフプレーが続出。イエローカードをもらって怒り狂う韓国13番の表情に吐き気をもよおして、前半を見終わった時点でテレビを消した。もうたくさん。

東京出張、五輪観戦

ある実習科目について「シラバスどおりに講義が行われていない」という指摘があった。調べてみたところ、なるほど、ちょっと・・・。この機会に、この科目に関する情報交換サイトをたちあげて、担当してもらっている非常勤の先生がたに手っ取り早い参考文献をいくつか掲示することにした。市販の安直な入門書や高校の教科書などを参考資料にするのもちょっと情けないけれど、まぁとりあえず、ということで・・・。

明日から東京出張。午前10:00からのシンポジウムに参加するのに前夜の宿泊費が出ない。おかしいんじゃないの?以前にはちゃんと宿泊費が出ていたのに、これも予算切り詰めの一策か。でもちょっとヒドい、省けるムダは他にもあるだろう!と憤慨しかけたが、よくよく考えるに、一番のムダは私の◯◯◯かもしれない^^。宿泊費はそれで充当すればよいことじゃないかと得心した^^。(別件の振込分との勘違いで、ちゃんと宿泊費は出てました、たいへんに失礼しました^^;)

そもそも今回は(前回も)知人宅宿泊なので宿泊費は0円の予定だったが、よくよく考えるに、東京滞在中の10日午前3時45分から、なでしこvsアメリカの女子サッカー決勝戦じゃないか。あわてて、ホテルを予約。90分間(もしくは120分)の死闘を夜明けまで観戦した後に、朝からのシンポジウムに「公務」出席?なんたる不謹慎と怒られそうだが、こればかりは仕方がない。澤穂希の最後の大舞台、どうしても生中継で見ないと気がすまない。まぁ、普段の学期中と同様に、2時間睡眠でバッチリ大丈夫^^。

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