波及効果のまやかし(2)

さいきん、産業連関表の「波及効果」を「乗数効果」と勘違いしている(と訝りたくなるような)文章を、よく目にする。今日のはこれ(ママ)。

サービス経済化が進むなか、直接的な輸出自体は経済全体にそれほど大きなウェイトを占めてはいない。しかしほぼ同程度の大きさの間接輸出を国内各産業に誘発しており、例えば中部地域にいたっては生産活動の27.6%を輸出に依存しているのである。
最終財の「直接的な輸出」と、中間財を含む「生産活動」を「大きさ」で比較しても意味がない。トヨタ城下町の中部地域では輸出の恩恵は大きくなるのだろうが、それは他の地域ではずっと小さくなっているからだ。産業連関表の枠内では、輸出がもたらす付加価値額の経済全体での合計は、かならず、もとの「直接的な輸出」以下になる。

ついでに、同じ文章の後半部(震災後のサプライチェーン寸断の分析)も、ちょっと、いただけないなぁ。そもそも算式の記述が未熟でモデル自体が曖昧なんだけど、与件と内生変数が途中で入れ替わっていないか^^。まぁでも、これ以上に具体的なことをここに書くのはやめておこう。テーマじたいは算数の問題としても面白そうだけどね。

ところで、先日、なんとか産業連関分析学会というのが未だに存在していたことを知り、ちょっとビックリ。20年ほど前に慶応大産業研究所S先生の講演に感動して入会したものの、数年後に第一世代の先生たちは引退され、その後に「ビジュアルBasicプログラミング講座」なんてのが「学会誌」に連載されはじめるに至って、ボクも退会した。当時はまぁ数年後には消滅していそうな学会に思えたものだったが・・・あにはからんや^^。

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このページは、eiichiが2012年8月22日 03:01に書いたブログ記事です。

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