盆明けに珍妙な計量モデルを思いついたんだけど、通常の最尤推定ではうまくいかない。別の方法で推定できないものかと苦闘中。新しく取り組むテーマの本を一から読み通していくのは、フニャフニャにだらけきっていた脳みそにはかなり辛い^^。夏休みの残り、あと二週間でなんとかなるだろうか。。
ある「大家」の新刊『経済効果ってなんだろう』という本の広告を新聞で見かけて、気晴らしにパラパラと流し読みしてみた。が、中身は産業連関分析の話(なんで?)。目次を追うだけで内容が把握できる、なんともホノボノ^^とした分野ではあるけれど・・・このご時世に「経済効果」などというと、誰しも、消費増税の非ケインズ効果とかを期待するだろうに・・・。でもそうか、そういえば「国土強靱化計画」なんてものが提案されていたね。どこかの土木関係の教授が大昔の経済予測を引用して「デフレ脱却」を唱えていたっけ・・・orz
いや、この「大家」自身は昔の公立大学で数理経済学を担当してきた人なので、フロベニウス根や多部門モデルの話(二階堂副包『現代経済学の数学的方法』あたり)などもご存知のはず。こういう経済学の土台を全部すっとばして、まやかしの経済予測が横行しはじめたのは、やはり「バブル」の頃だろうか。巨額のプロジェクトを推進するために、安直な予測が山ほど行われたはず。当時は「我田引水モデル」などと呼んでいたが、要するに、最初に結論(目標の数字)ありきで、それに前提条件をどう調整するかという、(予測ではなく)制御の問題を解くという感じ。この結果が、たとえば大阪の場合、バブルの塔やハコモノ銀座をはじめとする「負の遺産」だ。
他大学院生から論文が届いた(流し読みのみ、ゴメン)。確率フロンティア生産関数による、民営鉄道と公営鉄道事業の効率性比較。フロンティア関数の最尤推定はけっこうややこしくて、25年ほど前(「バブル」の頃^^)にはまともな既成パッケージがなくて、DFP法やらBHHH法やらのプログラムを自作していた。それでもうまく解けなかった記憶があるが、なんでも、いまは、「マウスを数クリックするだけで解ける」らしい(ホントか?)。
で、意外にも、公営鉄道のほうが効率的という結論を得て、著者曰く「橋下大阪市長の推進する公営交通改革は再考の余地あり」。論文本体には敬意を表するけれど、そんな言い方をしてはせっかくの緻密な分析が台無しではないだろうか。地域公共サービスの責務を果たすために細々と営業を続けている地方の三セク機関と、運転手の年収が1000万円超などという何処ぞの市の交通局を同列に並べてもしかたないと思う。それと蛇足ながら・・・同条件ならば民営企業が効率的になるのは当然だから(官民の「定義」により^^)、民が官より不効率というのは、たとえば独占の規制が甘いからか、あるいは官が独占しているからか、いずれにしても結局、政府の失敗に帰着するのではないかなどと思ったり。。