昨日の英語講義は、ここ20年ほど日本の技術進歩がスローダウンしていることを、生産関数から推計してみようというテーマ。説明をしている途中で、ひょっとしたら彼らは log(対数)を知らないのではないかと不安になり、聞いてみたところ、案の定、まじめなオランダ人フランス人留学生ですら、全員が log を知らないと返答した。まぁ、日本人学生と同じで、実は高校までに聞いたことはあっても既に忘れているということだろう。
この秋学期は、対数を知らない高学歴者に遭遇する機会が多くて、昨日で3回目の説明になった(このあと、学部の計量経済学でも説明する予定)。でも、対数の説明はそんなにむずかしいものではなくて、30分もあれば理解してもらえる(ものと信じている^^)。
23 = 2×2×2 = 8 という関係を対数(logarithm)で表すと log28 = 3。同様に、22 = 4 は log24 = 2、21 = 2 は log22 = 1。103 = 1000 は log101000 = 3、102 = 100 は log10100 = 2、101 = 10 は log1010 = 1。
log2◯ や log10◯ にあらわれる 2 や 10 のことを対数の底(base)と言う。底が 10 のときを常用対数(Common logarithm)と言って、底の表記を省略できる。たとえば、log100 と書いてあったら、log10100 ということ。これ以後は常用対数だけを使う(自然対数は無視^^)。
対数にはいろいろと便利な性質がある。
- log AB = log A + log B
- log Ax = x log A
- log A/B = log A - log B
そこで、コブ・ダグラス生産関数(一次同次)Y = A Ka L1-a e この複雑そうに見える式を、(上の三つの性質を使って)対数に直してみると・・・ log Y/L = log A + a log K/L + log e となる。これはよく見ると、Y = a + b X + u という単回帰式と同じ。log Y/L が被説明変数、log K/L が説明変数。そして最後の項が回帰の残差、これで技術要因の推移を計ってみよう・・・という感じ。
しかし、対数だけではない。大学院生の場合はとくに深刻。こういうのは、経済学への応用を念頭に、最短距離のショートカットで教えれば済むことだろうとも思うのだけれど・・・。