京都大学はここまで・・・

本屋をブラブラしていたら、京都大学工学部土木工学科教授の話題の?著書『維新改革の正体』という本が目についた。副題は「日本をダメにした真犯人を探せ」、帯に「リセット とか ぶっ壊す とかを胡散臭いと思った人の直感は正しい」とある。琵琶湖が外来のブラックバスに荒らされた例を引いてTPPに反対し、10年間で200兆円の公共工事をせよと主張している人だ。要するに、改革などはやめて、古き良き?「土建国家」に戻れということだろう。何をか言わんや。京都大学はここまで墜ちたのか。

最初の数ページに目を通せば、もうたくさん。序章(「はじめに」)に記されているように、この人の経済に関する知識は宍戸駿太郎氏(88歳)に依拠するものらしい(「日本のど真ん中で経済成長を牽引した権威」として引用されている)。宍戸氏は30年以上も前に経済企画庁でマクロ計量モデルを作っていた人だが、いまの世で(今頃になって)こんなモデルを信奉するなんて、この京都大学土木工学科教授をおいて他にはいない。この種のモデルは70年代なかばの「ルーカス批判」により経済理論的に葬り去られたものだが、統計分析としてもかなり危うい代物で、変数のトレンド処理もせずに単純最小二乗法で推計した「見せかけの回帰式」を数百本集め、それをガウスザイデル法という、これまた単純な手法で解いたものを「政策シミュレーション」などと称していた。こんなものが「日本の経済成長を牽引」したわけがない。

かつて(もう15年くらい前だったか)京都大学経済研究所長(東大出身)が語ったように、京大といっても、一回生の最初に学ぶ微分(ε-δ論法)が理解できない工学部生が少なからず存在するとか。この本を見ていると、こういう話も本当のことだろうと思えてくる。

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このページは、eiichiが2013年5月 4日 01:39に書いたブログ記事です。

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