2013年6月アーカイブ

アベノミクス本

市民カレッジも残り3週、そろそろ参考文献を紹介せねば、ということで、講座終了後に読んでもらえそうな本を探すために、梅田の大書店へ。いろいろと観察した後に、『アベノミクスでも消費税は25%を超える』(小黒一正)と『インフレで私たちの収入は本当に増えるのか』(佐々木融)の二冊がよいときめた。

上の二冊はいずれも正統派の立場から書かれたものなので、リフレ派の本も一冊くらいはあげておこうと探したのだけれど・・・良書を見つけることができなかった。たとえば、「リフレ派きっての論客」という触込みの『解剖アベノミクス』。短時間のうちに書かれたものなのか、文章が淡泊で説得力にとぼしい印象。上の小黒教授の本などと比べると、論理の精緻さや論旨の明快さにおいて、劣るように思う。

それにしても(蛇足ながら)、学生や受講者に「買わせてはならない」と思わせる本が多すぎないだろうか(まさに、この国の混迷を反映?)。。ベストセラーとなった『アメリカは日本経済の復活を知っている』などは、帯のキャッチコピーが胡散臭さ200%(←写真を参照)、これを見ただけで手に取る気も失せてしまった。

財政破綻!?

というわけで、今週の和泉ホール市民カレッジは、いよいよ焦眉の財政破綻問題へ突入なのだ^^。

  1. あらためて指摘するまでもなく、日本の財政は危機的状況にある。「日本政府は借金も多いが資産も多く、純負債で見るとまだ大丈夫」などと言う経済評論家もいるが、ほとんど無意味。
  2. 社会保障費の自然増は不可避。つまり歳出を抑えることはできないのだから、歳入(税収)を増やす以外にない。じっさい、現在の「国債バブル」は、日本の国民負担率の低さに支えられている側面がある(増税による財政健全化がまだ不可能ではないと市場は見ている)。
  3. 長期金利の上昇が財政破綻の引き金を引く可能性は高い。毎年100兆円を超える借換債発行は困難になり、国債費が急騰。また、巨額の国債を保有する国内銀行のバランスシートは毀損して、貸し渋りや国債の大量売却が生じる危険性がある。
  4. 財政の現状に関して楽観的な経済学者はいない。一部の経済評論家は「楽観説」を唱えているが、論旨不明瞭。高齢化率がピークとなる2055年までに達成すべき消費税率は、妥当な試算によると、30%を超える。

この国をいちど破綻させてガラガラポンでやり直したほうがよいという考えも(特に若い世代のなかには)ある。「丸山眞男をひっぱたきたい」を紹介するかどうか、最後まで迷ったけれど、やめておくことにした。

格差社会の虚実

本日の市民カレッジは「格差社会の虚実」というテーマで80分くらい話した。格差社会論の虚実、すなわち「ウソ」と「マコト」、論旨は大略以下のような感じ。

  1. 資産格差は70年代から(トレンドとしては、むしろ)平等化の傾向にある。2000年代前半(小泉政権下)の短期間を取り上げて格差拡大を強調する議論は、より広い視野から再考されるべき(そのような議論の例としてこちらなど、ジニ係数の長期動向は国民生活白書平成17年版等にある)。
  2. 所得格差は、たしかに、70年代後半あたりから徐々に「不平等化」が進んでいるように見える(ジニ係数が漸増している)が、これは高齢化によるものだろう。もともと所得格差の大きい高齢層の人口シェアが増えているのだから、日本社会全体でジニ係数が上がっていくのはあたりまえ。
  3. 我々の社会には「機会の平等」と「結果の平等」を峻別する智恵が必要。「結果の平等」を偏重して、すこし格差が広が(ったようにみえ)ると直ちに「格差社会化が進んでいる」と結論づけて騒ぐのは慎むべき。
  4. ホントに深刻な「格差」は、正社員と非正規社員のあいだの格差、それから「世代間格差」と「世代効果」。将来世代は8000万円の借金を背負って生まれてくる。財政健全化や社会保障制度の抜本的改革は、困難な長期的課題ではあるけれど、避けては通れない。

毎年大学でやっている貧困率の計算例で、笑いがとれた^^。

T.T.メールほか

その昔「世界」という月刊誌に T.K. と名乗る人物のちょっとあやしい文章が連載されていた記憶があるが、最近(といっても、すでに5年前いや10年前くらいから?)、T.T.と名乗る人物が(ときどき思い出したように)日本じゅうの経済学研究者にあてて、意味不明の経済論文もどきをメール送信し続けている。本人にすればよっぽど自信のある「研究」なのだろうけれど、どう好意的に見ても、中学生の作文を越えるものではないように思う。数年前に一度だけ、北海道方面の著名学者が反応して「こんなバカなことはやめなさい」という趣旨の返信をしていたが、まったく懲りない様子で、いまでは、Gmail の新規アカウントですら自動的にスパム処理するほどの notorious rascal になってしまった様子。しばらく忘れていたのだけれど、(新手の手法で)タイトルも署名も本文も英語で送るようにしたらしく、ふたたびスパムに落ちずに目にとまるようになった(その英作文がこれまた救いがたいヒドさで、大阪弁でいうところの「アホ丸出し」・・・)。
誰でも容易にこういうことができてしまうのがネットの世界だが、この件が異常なのは、送信者が、本名はもちろん現住所や出身大学まで明かしていること。出身大学(の指導教員あたり)が動いて、いいかげんになんとかすべき(してあげるべき)ことだろうと思うのだけれど・・・。蛇足ながら、このメールの宛先リストには、本学ではボク以外にも経済学部の数名の教員のメールアドレスが含まれている。つまり、かなり(とてつもなく)幅広く日本中の経済学関係者を網羅しているのだが、彼の出身大学にはこのメールは届いていないのだろうか。。

大河ドラマ「八重の桜」、本日は二本松少年隊の悲劇。若干22歳の隊長が、13歳の子供から成る少年隊に向かって、「我が二本松藩は、官軍に寝返って生きながらえるより、同胞会津への忠義を貫くことを選んだ。誇りを持ってたたかえ」と鼓舞する(鼓舞した後に自分が楯になって子供たちを逃がす、泣けてしまった^^)。「子供」つながりで、先日とどいた写真誌「風の旅人」復刊第二号(テーマは「コドモのクニ」)のなかの、著名な脳科学者の寄稿文を思い出した。ジョン・レノン「イマジン」を引用しながら、いわく、子供の頃の純粋な心に戻ればよいだけのこと、だそうだ(無神論やら無政府論やらといったものこそ初等中等教育を通じてすり込まれたイデオロギーでは?こんな文章でお茶を濁すとは、写真誌をなめているのかな^^)。編集者が(「イマジン」の単細胞を)補足して、雑草に学ぶ「弱者の戦略」などを引用しながら、フォローしている。子供の純粋な心に戻ってはいけませんね。。

F高は遠かった

本学からの教育実習生がちゃんとやっているかどうかを確認するために^^、大阪府立F高校を訪ねた。最寄り駅から徒歩30分、大和川のすぐ南にこんな田園風景が存在するとは・・・。田んぼのなかの府立高校。でも、先生がたはみんな和やかだし、生徒もまじめそうな子ばかりで、実習生も余裕で授業をこなしていた。最初にご挨拶した情報科の先生がいかにも飄々とした数学屋という印象の方で、まず好感。そのあと、進路指導の先生からは、本学の教職課程はすばらしいとお褒めの言葉をいただいた(本学の教職課程では、採用の可能性を高めるために二つ以上の免許を取らせるように指導しているそうで、じっさい、このF高出身の本学実習生が、昨年、府の教員に採用されたそうだ)。なごやかな雰囲気のなかで、2コマの授業を参観したあと、実習生が門のところまで見送ってくれた。じゃあと言って別れて、100mくらい歩いてフト振り返ると、彼がまだ門のところに立っていた(泣けてきたぜ^^)。帰り道は炎天下を30分ほど歩いて汗だくになったけれど、なんとも心地よい高校訪問だった。

常圧麦焼酎4種

常圧蒸留の麦焼酎4種。4本ともそろそろ瓶の底が見えてきたので、記念撮影。

このなかで印象深かったのは「おこげ」。どこかの酒屋が「兼八の三倍も香ばしい」と宣伝していたが、適切でないと思う^^。裸麦のワイルドさ(青臭さ)が前面に出て、とても個性的なことはたしか。同じ裸麦でも、「兼八」の熟した大人しさとは好対照。

まぁいまのところ、ボク的には、麦ではやっぱり「兼八」がクイーン、脂ぎったキングは「泰明」かな。さきごろ、両者とも、原酒の予備補充を完了(夏は冷凍庫でキンキンに冷やして・・・^^)。

日曜夕刻は大河ドラマ「八重の桜」。日テレ「白虎隊」(1986)で国広富之が演じた神保修理もよかったが(「私が腹を切ればよいのでしょう」という台詞と、切腹の場面をいまだに覚えている^^)、斉藤工が演じる修理の最後(「殿がわかっていてくださる、それで十分ではないか」)もよかった。Dragon Ash のボーカル(古谷一行の息子)が演じる新撰組斉藤一の今後も見所ですねぇ。。

失われた20年

和泉ホールでの市民講座、あれほど熱心に静聴してくださると、やりがいもあるが、手が抜けない。先週の質問は、「投資立国は可能か」「なぜアベノミクスで円安になったのか」「インフレ目標は達成可能か」「世代間格差の計算はあまりにも(年配者の)実感とかけ離れている」の4つだった(はず)。4番目はなんとしても答えたいが、時間がかかりそうなので、あと回し。前の3つについて、相応の時間をかけて、説明した。

それで、昨日のお題は「失われた20年」。日本経済停滞の原因とおぼしきものは・・・

  1. 将来期待が悲観的で消費や投資が低迷している
  2. 国際競争力の低下により貿易収支が赤字に転落した
  3. 上の1,2による総需要の低迷に加えて、要素価格均等化の圧力により、賃金が低下してデフレが生じている
  4. デフレは円高を誘発し、実質金利を引き上げて、事態をさらに悪化させている(デフレ・スパイラル)
  5. 景気対策で一時的にデフレスパイラルをやわらげることはできるかもしれないが、上の1,2,3の構造的な原因を取り除くことはむずかしい
というような流れ(大学の講義のような難しい話ばかりを続けていてよいのだろうかとちょっと不安になったりもするけれど・・・^^)。

デフレ・スパイラルのところで購買力平価説とフィッシャー方程式を説明したんだけど、いつも大学の講義で使う「カンタン算数表」が好評だった(と思う^^)。

 

動画を直接に埋め込むのはやめた(YouTubeにアップロードして Share -> Embed の安直作戦^^)。

ミナミで午前様

カラオケ屋のフリータイムチケットがあったので、家族で、ひさしぶりに道頓堀へ繰り出した。オールナイト飲み放題付きで1人1000円!飲み放題の瓶ビールはアサヒスーパードライ、キリンのアルコールフリー瓶も飲み放題、部屋まで持ってきてわざわざ目の前で栓をあけてくれるので詰め替えではなく本物だ。なんというすさまじいデフレ競争(黒田バズーカのインフレ目標などはやっぱりムリ^^)。

ところで、キタの人間(ボク)には、ミナミというのは未だにおどろおどろしい未開の地。
日本橋からカラオケ屋へ向かう途中で、路上生活者に話しかけられた。どう見てもたかだか60歳前後にしか見えない男が「ワタシ、もう93歳なんです」と言ってきた。よせばいいのに「たいへんですね」などと受け答えして調子に乗せてしまった。いわく、「ハシモトがね、生活保護をくれない、住所不定はダメだというんだが、ワタシはここ(路上)に6年間も住んでいる」「ハシモトがね、ワタシらには救急車を出してくれない、病気になったらここで死ねといってる」。きわめつけは、「ワタシは南方戦線でたたかって胸に銃弾を受けたんだ、お国のためにがんばったんだよ」。最初の93歳という年齢詐称はこのための前振りだったのか、戦争にからめたゆすりたかり物乞いの類は、あちらこちらで未だ未だ健在のようだ。

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