2013年7月アーカイブ

読んでみたい論文があったので、大阪市立大の市民制度(市内在住者は登録料2000円)を利用して同大学学情センターの地下書庫を歩き回ってみたのだけれど、お目当てのジャーナルは数年前に購読を停止したようで、探していた論文は入手できなかった。大阪市の財政圧縮はこんなところにも影響しているということかな?

別の大学にあたるのも面倒くさい。といっても、オンライン購入料金は1本あたり$31.5(3000円強)。ちょっと迷う金額だなぁと購入をためらい他の手段を調べてみると・・・論文レンタルサイト(DeepDyve)というのがあることを知った。こちらだと$20ほどで30日間自由に閲覧できる。さらに便利な機能があって、5分間だけ、無料で、論文全文を閲覧できる。購入に値するかどうか、5分間だけ自由に全文をながめることができるわけだ(それにしても、たかだか20ページくらいの論文ならば、5分もあれば、手動でも、画像を取り込んで imagemagick あたりでpdf化すれば全文を入手できてしまうだろう。スクリプトを書けば自動のバッチ処理も不可能ではないだろうと推測するが・・・)。

とまれ、1本あたり$20でも未だちょっと高い気がする。ふたたび他大学の図書館を訪問する作戦に切り替えて、CiNiiの所蔵大学一覧を調べてみたところ・・・なんと、うちの大学にあった(灯台もと暗し、そういえば、ボク自身が赴任当初にこの雑誌の購読を要望したのだったか^^)。

 

暑い日々は、ロックの氷を多めにして、水割りのように飲むのがよいかな。。写真左から、自我田(熊本・有機米無濾過)、鳥飼(熊本・吟香米焼酎)、野うさぎの走り(宮崎・長期貯蔵コメ焼酎)、松露心水(しょうろもとみ・宮崎・芋白麹)。中央の2本が有名ブランド。でも、ボクがうまいと感じたのは右端と左端、心水と自我田(「有名無実」の命題はいまだ反例なし^^)。というわけで、「夏の松露」夏期限定版を一升瓶で発注^^。

経済政策の評価

市民カレッジ終了後に、いくつかの質問をメールでいただいた。あぁ明日の水曜日はもう講座に行く必要ないんだなぁ(ちょっとさびしい^^)。

メールの送り主は(おそらく)定年退職後の技術者。いかにもエンジニアという風貌で、講座中にも何度か質問をしてくださったんだけれど、今回のメールでそれを確信した。というのも、次の質問。

アベノミクスの評価をする際に、震災の影響(原油やLNGの輸入増などのマイナス要因)を含むべきか除外すべきか
経済政策の「実験」は一度きり。アベノミクスが発動されたのは震災後だからエネルギー輸入増は配慮されて然るべき。さらに、貿易収支の赤字転落は円安に貢献した側面があり、エネルギー価格の上昇が明白だったことは(消費税率引き上げも予定されていたし)期待インフレ率の上昇に多少とも貢献した可能性がある。ボクは、除くことはできないと思うんだけど・・・。

海老江の夏2013、妙な和訳

海老江の夏の風物詩。東京方面から親族もかけつけて、宵宮のパレードを皆で観戦。

ゼミに岸和田だんじりの若衆が二人いて、彼らも海老江の夏祭りのことは知っていた(「岸和田とは違う」と誇らしげに語ってはいたけれど・・・^^)。

 
アセモグル・ロビンソンの話題の共著『国家はなぜ衰退するのか』。日本語訳を、上下巻あわせて5040円で購入。さきほど読み始めたが、序文をたった数行読んだだけで、文章になんとなく違和感をおぼえた。(もうすぐ休みに入ることだし)やっぱり原書でゆっくり読もうと思い直して、Kindle版1330円を購入しなおした。それで、違和感を感じた訳文を原書と照合してみたんだけど・・・As we write this preface, North Africa and the Middle East have been shaken by the "Arab Spring" ... という原文を、「この序文で述べるように、北アフリカと中東はアラブの春によって揺れ動いてきた」と訳している。1冊あたり5040-1330=3710円もの「翻訳料」が付加されている本にしてはちょっと・・・。こんな世界的ベストセラーの翻訳担当者がどう決まっているのか、その仕組みを知りたいと思う。国家の衰退を救うのは社会の開放性や既得権益の破壊であることを示唆する名著じたいが、この国では、独占的超過利潤の源泉になっているような気もしないではない^^。

非伝統的金融政策の効果

本日の市民カレッジは、2000年代からはじまった非伝統的金融政策の効果、とくにアベノミクスについて。

  1. 昨年秋まで(つまり、アベノミクス以前)の量的緩和政策に効果はなかった。ベースマネーが異常に増えたが、マネーストックは増えず、銀行貸出はむしろ減少して、物価は下落した。ソロスチャート(為替レートは日米ベースマネー比の増加関数という命題)もあっけなくくずれた。
  2. ところが、アベノミクスは、同じ手法によって効果を発揮した。期待インフレ率はたしかに上昇しているようだし、昨年秋から円安トレンドが続いている。
  3. もともと円安に転換する素地が醸成されていたという背景もあるが、やはり、コミットメントの強さ(この首相ならとことんやりかねない^^という期待)が功を奏したと見るべきだろうか。
  4. しかし、これから先、名目金利の上昇を一定範囲に抑えてインフレ目標を達成できたとしても、また、賃金が上昇してくるとしても、投資や消費が着実に増えて持続的な経済成長につながるかどうかは不透明。かりに一定の景気回復が見られたとしても、経済成長による税収増で財政難を回避できるとは考えにくい。
物価連動債の利回りから期待インフレ率を推計するくだりをどう説明するか悩んで、金融論のテキストを何冊か見たんだけれど、わかりにくい説明ばかりでちょっと辟易。しかし結局、ラフに言葉で説明して、他のテキストと同様にわかりにくい説明になってしまったようだ^^。まぁ、このあたりは、次の機会への反省点ということで・・・。

講座修了後に、いつも最前列で聞いてくださった女性から達筆の書状(ハガキ)をいただいた(「刺激に感謝」の趣旨、講師冥利に尽きる^^)。

 
アベノミクスの今後は、景気回復/財政破綻/元の木阿弥?

注)通常債の利回りー物価連動債の利回り=期待インフレ率 となることは数学的にはカンタンな話で、連動債の価格をY, 通常債の価格をX
 として,(インフレ率ゼロのときの)収益はともにAで等しいとする。連動債の利回りをRy, 通常債の利回りをRx, 期待インフレ率をpとすると
, 市場の裁定により A/X = A(1+p)/Y つまり (1+Rx) = (1+p)(1+Ry), この両辺の対数をとり線形近似すると Rx = p + Ry となる。

自慢の娘

今日の大河ドラマ「八重の桜」、松重豊演じる山本家の長が、はじめて、娘を「武士」と認める。松重豊もまた好きな男優のひとり。彼はハッセルブラッドの使い手で、小島一郎の足跡をたどるドキュメンタリー番組はとてもよかった(男前列伝)。先週の中野竹子や神保雪の凄絶な最期にも感じ入ったが、来週には彼も死ぬんだな。。この先の当面の見所は、柳沢慎吾が演じる萱野権兵衛の切腹シーンだろうか(先読みするほどに入れ込んでしまっている、最近は日曜18:00が待ち遠しくてしかたない^^)。

「自慢の娘」というタイトルから、映画「シックス・センス」の一場面を思い出した。幽霊と会話できると言いふらして誰にも相手にされなくなった息子が、ある日、祖母の霊からの伝言だといって、ある単語を母に伝える。彼女が祖母の墓前でいつも繰り返す質問への答だという。その答とは、"Everyday" 。それを聞いた母親は泣き崩れて、息子がほんとうに霊と会話できるのだと悟る。その質問とは、"Do I make you proud ? " 。

金融政策の効果

今日の市民カレッジのお題は、金融政策の効果について。

  1. 伝統的金融政策、つまり公開市場操作による短期金利(コールレート)の誘導はうまく機能しない。それは、投資が金利の変化に反応しない(投資の利子率弾力性がゼロ)、金利が限界(ゼロ金利)まで下がってしまった(流動性の罠)といった理由によるものだろう。
  2. 同様に、外為市場でのドル買い(為替介入)もうまく機能しなかった。こちらは外為市場が肥大化して、一国の中央銀行が影響を及ぼせるものではなくなってしまったから。
  3. 新しい「非伝統的金融政策」とは、量的緩和を拡充して、同時にインフレ目標+時間軸政策を公約(コミットメント)するもの。前者の量的緩和では政策の中間目標を金利からベースマネーにシフトさせたが、効果はあまり見えていない印象。
  4. 後者のコミットメントについては、インフレ目標の公約で期待インフレ率を高めることにある程度の効果を発揮したのではないだろうか。時間軸政策(ゼロ金利継続の公約)で長期金利の上昇を抑え、期待実質金利を低下させることが、これからの課題となるはず。

時間軸効果を説明するために(苦肉の策で)下のような簡単な数値例を・・・。

 

 

楽しかったこの講座も来週1回を残すのみ。50人あまりの受講者全員が社会人ということもあるけれど、あれだけ熱心に静聴してくださると、やりがいがある。この続編を、機会があればやりたい。というか、来年の英語講義でやろうかな。。

ps. リフレ派と正統派の対立にまつわる笑い話をいくつか紹介したら、けっこうウケた。前日銀総裁はリフレ派の某H巨人の教え子なのに、巨人は近著でその愛弟子の人格までもコキおろしていることや、逆に、インフレ期待を醸成する政策には時間的不整合があるから、前日銀総裁のような賢明な人が「大胆な金融政策」などとブチあげても誰も信じないが、何をやるかわからない非合理の人が宣言したからこそ効果を持ったのだとか、ブチあげたはよかったが肝心のゼロ金利継続宣言をうっかり忘れてしまったので長期金利が急騰したのだとか・・・^^。

Diagrammix

Mac OS 用のフローチャート作成ツールがないかと探してみたところ、Diagrammix(1700円)がGoogle検索のトップに出てきた(かつて愛用した Tgif は、さすがにいまさら使う気にはなれず・・・^^)。とても便利で、下のようなチャートが簡単に作成できる。

アベノミクスにまつわる論点をこんな風にまとめてみた。今週水曜の市民カレッジは金融政策(量的緩和・時間軸政策)の話をして、来週(最終回)にこのネタで締めくくる予定(もうこの調子で最後まで行くことにした^^)。
それにしても、この市民カレッジのおかげで、日本経済について漠然と考えていたことをかなり整理できたと思う。今学期は雑務が重なりメタメタに忙しかったが、休みに入ったら実証分析に本腰を入れてとりくもう。

財政政策の効果

今週の市民カレッジは、アベノミクス第二の矢「財政政策」についての考察。

  1. 財政政策が景気に与えるプラス効果は、古典的な乗数効果のみ。
  2. それに対して、景気へのマイナス効果は、(a)財政赤字の増加が国民に将来の増税を予感させ消費を抑制する(中立命題)、(b)財政赤字の増加により金利があがれば民間投資が抑制される(クラウディング・アウト)、(c)金利が上がれば円高となり経常収支も悪化する(マンデル・フレミング)。
  3. プラスとマイナス、どちらが強いかは微妙なところだが、内閣府の短期計量モデルによる試算では、乗数はたかだか1.07ほどで、失業率の改善効果などもごくごくわずか。
  4. 震災復興や老朽化した社会資本の復旧など、ほんとうに必要な公共投資は行わねばならないが、財政政策は、景気対策としてはほとんど意味がない。国の債務残高GDP比は、すでに太平洋戦争末期のレベルを超えている。むだな公共事業を続ける余裕はとっくにない。
  5. 蛇足ながら、「乗数効果は5.0もある」だとか「日銀が紙幣を刷って国債を償還すれば公債の中立命題は成立しない」などと語る人物を内閣官房参与にすえたのは、致命的なあやまちではないか(ここで笑いをとろうとするも・・・^^)。

マンデル・フレミングモデルをフローチャートで説明。

「2〜3%のマイルドなインフレ下で国債はどうなるか」という質問があった。インフレに連動して名目金利が上がると、国債費が膨張して、国内銀行が保有する国債にも含み損が出る。1%の金利上昇で7兆円の国債費増、国内銀行の自己資本の2割が毀損という試算もある。インフレは良くない、と(とっさに)答えたけれど、そういえば、リフレ派はこの点をどう考えているのだろうか。。

 

ところで、FlickrがYahooに買収されて契約のかたちが変わった。継続するかやめるかを7月中に決めねばならないようだ。Flickrにはすでにアップロードしておらず、Friend だった英国人女性数名とも交流はすでに途絶えていて・・・(いちばん親しかったMikiは大学卒業後にプロのイラストレータ兼フォトグラファーになったようす)。でも、Flickrのアカウントを消すと、他所で勝手に使われている写真のオリジナルを主張できなくなりそう。どうしようかな。。

このアーカイブについて

このページには、2013年7月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2013年6月です。

次のアーカイブは2013年8月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

月別 アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 5.13-ja