今日の市民カレッジのお題は、金融政策の効果について。
- 伝統的金融政策、つまり公開市場操作による短期金利(コールレート)の誘導はうまく機能しない。それは、投資が金利の変化に反応しない(投資の利子率弾力性がゼロ)、金利が限界(ゼロ金利)まで下がってしまった(流動性の罠)といった理由によるものだろう。
- 同様に、外為市場でのドル買い(為替介入)もうまく機能しなかった。こちらは外為市場が肥大化して、一国の中央銀行が影響を及ぼせるものではなくなってしまったから。
- 新しい「非伝統的金融政策」とは、量的緩和を拡充して、同時にインフレ目標+時間軸政策を公約(コミットメント)するもの。前者の量的緩和では政策の中間目標を金利からベースマネーにシフトさせたが、効果はあまり見えていない印象。
- 後者のコミットメントについては、インフレ目標の公約で期待インフレ率を高めることにある程度の効果を発揮したのではないだろうか。時間軸政策(ゼロ金利継続の公約)で長期金利の上昇を抑え、期待実質金利を低下させることが、これからの課題となるはず。
時間軸効果を説明するために(苦肉の策で)下のような簡単な数値例を・・・。
楽しかったこの講座も来週1回を残すのみ。50人あまりの受講者全員が社会人ということもあるけれど、あれだけ熱心に静聴してくださると、やりがいがある。この続編を、機会があればやりたい。というか、来年の英語講義でやろうかな。。
ps. リフレ派と正統派の対立にまつわる笑い話をいくつか紹介したら、けっこうウケた。前日銀総裁はリフレ派の某H巨人の教え子なのに、巨人は近著でその愛弟子の人格までもコキおろしていることや、逆に、インフレ期待を醸成する政策には時間的不整合があるから、前日銀総裁のような賢明な人が「大胆な金融政策」などとブチあげても誰も信じないが、何をやるかわからない非合理の人が宣言したからこそ効果を持ったのだとか、ブチあげたはよかったが肝心のゼロ金利継続宣言をうっかり忘れてしまったので長期金利が急騰したのだとか・・・^^。