論より統計?

「論より統計!」というシンポジウムを聴くために、日帰りで早稲田の大隈講堂まで行ってきた。どこかの社長さんと文科省のお役人の話は退屈で中座してしまったが、後半のパネルディスカッションは楽しくて勉強になった。

「統計ブームは一過性のものですか?」という質問に、O大学K教授は、間髪入れずにきっぱりと「そうですバブルです」^^。

ベストセラー『統計学が最強の学問である』の著者のプレゼンも面白かった。「データサイエンティスト」などという職業は、数年後には、口にするのも恥ずかしいお笑いネタになる(ちょうど、以前に「ハイパーメディアクリエイター」などという用語が流行したように)というあたりはよくわかる気がするんだけれど、この医学畑の人が経済学の話題を持ち出したのにはビックリした。「理論偏重の経済学」という前置きのあとに、シンポのテーマどおりに「論より統計!」が強調されて、なんと、R.バローの経済成長論が引用されていた(バロの顔写真入りスライドで)。経済成長の最重要ファクタは「教育投資」、明治の日本を思い起こしましょう、教育をしっかりやって我が国を盛り上げましょう、という結論だった(かな?)。しかし・・・昔から経済学には「理論なき計測」という言い方もあるのだけれど・・・バロに代表される収束理論の研究は経済発展の初期中期段階に着目していて、実はなかなか実証がうまくいかないので民主主義の度合いだとか(やや恣意的な)いろんな説明変数を加えたあとに、クラブ仮説というのを持ち出してデータを(やや恣意的に)グループ分けしたり・・・。東大医学部卒、30歳にして時の人となった統計学の俊英が、泥臭いケインジアンから美しすぎる新古典派に転向した経済理論家を引用する。おもしろいと思った。

最後に、O大学K教授が強調したコトバ(統計学は「大人」の学問、おもてなしの「お」)が印象的だった(この先生のO大学での授業はきっとメチャメチャに楽しいんだろうなぁ^^)。

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このページは、eiichiが2013年10月12日 21:24に書いたブログ記事です。

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