神隠しによる技術流出

週刊ダイヤモンド11月16日号が、韓国企業サムスンの特集(「二番手商法の限界」)を組んでいる。まず目を引かれたのが「吸い尽くされた日の丸技術、暗黒の技術流出40年史」。

「まるで神隠しのように姿を消した」多くの日本人技術者が、「お土産をどっさり持って」韓国へ渡り、韓国語の通名で、サムスンに貢献しているという。「お土産」とはもちろん当該技術者の知識能力と、それから日本企業の内部機密資料だそうだ。たとえばシャープ亀山工場の場合には、工場建設中の段階で設計図の全部がサムスンの手に渡っていたらしい。つまり、シャープが社運をかけた最新鋭工場の生産機種と生産能力の詳細は、工場稼働前にサムスンに筒抜けだった。製品の原価情報や新機種の企画戦略書など、日本企業のあらゆる情報が把握されているらしい。まぁ、ルール違反には許せないものを感じるけれど、日本企業のセキュリティの甘さ、さらに日本企業が自社の技術者を冷遇し続けてきたという側面もあるのかも。。

特集では、サムスンの戦略を「キャッチアップ殺法」と名付けている。この殺法には「奥義5箇条+1」というものがあるらしく・・・

  1. 合弁会社を日本企業と設立
  2. 技術供与を日本企業から受ける
  3. 「先生」として日本人のトップ人材を招く
  4. 日本人エース技術者をヘッドハント
  5. 部品屋になって日本企業からノウハウ吸収
  6. 学ぶことがなくなったら巨額投資で日本企業を殲滅(って、過激派の内ゲバか^^)

サムスン電子の営業利益の7割をたたきだすスマートフォン(ギャラクシー)はこうした「キャッチアップ殺法」の集大成であるという。

「部品屋に徹する。セット(完成品)は作らない」。約10年前、そうささやきながらサムスンは格安の部品をひっさげて、日本の携帯電話メーカーに近づいてきた。部品としては使い物にならない品質だったが、あまりの安さに、結局、サムスン製部品の採用が決まってしまう。製造現場は「仕方がないので部品の品質を高めるようにサムスンに技術指導した」。その結果、サムスン製部品の技術水準は向上した。それだけならよかったが、最初の約束はどこへやら、サムスンはそこで身につけた技術を詰め込んだギャラクシーを日本市場へ投入。スマホに乗り遅れていた日本企業にとどめを刺した。
たとえば、ギャラクシーのNANDメモリは東芝から技術供与を受けたもの、有機ELディスプレイはNECとの合弁で技術と知的財産を手に入れたもの、など。

サムスンは既に日本の家電メーカの技術を完全に吸い尽くした。次のねらいはカメラ、コンデンサ、化学、LED、バイオ医薬品、電池などなど。サムスンはこうした新しい分野でも「愚直にキャッチアップ殺法を繰り返しており」、現在はイメージセンサでニコンに急接近中とのこと(ニコンはサムスンの下心を見抜いて熱烈営業には応じなかったらしいけれど・・・^^)。

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このページは、eiichiが2013年11月13日 01:45に書いたブログ記事です。

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