「金融政策」の英語

大学院に新しく設置する科目の英語名を考えねばならないということで、一昨日、現在の大学院科目の英語名一覧表をざっと見た。こんなものがあるとは、つゆ知らず。それで、ちょっと驚いた。これらの英語科目名は英文の修了証明書に記載されるらしい。ということは、かの「インドの東大」や「ヨーロッパの東大」からやってきた交換留学生たちも、その英文修了証明書を持って帰国し、それぞれの「東大」に提出したわけだ(あな、おそろしや^^)。

本学大学院設置申請のときから使われてきたであろう(つまり、ここ15年ほど使われてきた)英語科目名のなかに、ふたつほど、怪しげなものを発見(他にもあるんだけど、まぁ細かいことを言えばキリがないので・・・)。ひとつは金融政策研究 Studies in Financial Policy 、もうひとつは流通経済論研究 Studies in Distribution Economics 。

金融政策は Monetary Policy だ。たとえば、世界でいちばん読まれている定番教科書 G.Mankiw(マンキュー)の Macroeconomics には、財政政策 Fiscal Policy 、金融政策 Monetary Policy という用語は登場するが、Financial Policy なんていう用語はどこにも出てこない。上級編の定番教科書 D.Romer(ロマー)の Advanced Macroeconomics も同様。FRB(アメリカ合衆国の中央銀行)も Bank of England(英国の中央銀行)も、金融政策は Monetary Policy と明記している。
たしかに、日本人の古い?先生が金融政策を Financial Policy というのはボクも知っているけれど、少なくとも現在では、これはおかしいだろう。この点を明確に示しているのが Bank of England のWebサイトで、中央銀行の業務のうち、インフレ・ターゲットや量的緩和政策などを中心にしたマクロ経済政策を Monetary Policy と定義して、金融システムや銀行経営の安定性を確保するための政策を Financial Policy と定義している。前者が中央銀行が行う金融政策、後者は(日本では)金融庁あたりがやる仕事だろう。

それから、流通経済論研究 Studies in Distribution Economics のほうは経営学分野の科目だが、Distribution Economics と聞いて「流通経済」を思い浮かべる人はまずいないだろう。Distribution Economics といえば「所得分配の経済学」に決まっている。まぁ、経済学の人間がとやかく言う筋合いではないのかもしれないけれど・・・。

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このページは、eiichiが2013年12月 7日 10:57に書いたブログ記事です。

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