剽窃

さいきんは機関リポジトリというものがあって、各大学は、博士号取得者の博士論文(全文)を審査報告書とともに公開している。これのおかげで、STAP細胞論文の筆頭著者O氏の博士論文における剽窃疑惑は、さらに、筆頭著者と同じ大学(W大)の無関係の人たちの剽窃疑惑にまで飛び火をはじめたようだ(STAP細胞論文の疑惑)。O氏はすでに博士論文の取り下げ(つまり博士号の返上)を申し出たそうだが、W大がO氏の博士号を取り消せば、他の無関係の大量の博士号も取り消さねばならない事態となりかねない。ことはW大だけにとどまらず、そのうちに剽窃チェックマニアが多く出現して、全国の大学の博士論文が標的になるだろう。かつて、ディプロマミル(学位販売業者)から博士号を買った教授が何人か発覚した有名大学などは、きっと大惨事になるのだろう。とりあえず、剽窃チェックソフトの餌食にならないように、リポジトリには論文を画像で保存、OCRソフトも効かないようにロックをかけておく必要があるね^^。

しかし、近い将来にチェックマニアの裾野は広がって、一般性の高い人文社会科学系の研究が多くターゲットとなるのではないだろうか。おりしも、つい半月ほど前に、侃々諤々の議論の末に、ある博士論文の審査報告書の書き直しを認めさせたところ。(審査員ではないので)論文本体のコピペまでチェックする余裕はなかったが、せめて審査報告書はちゃんとしておいてくれと、役職柄、真剣に要請した^^。

なお、コピペについて面白いことを言う人もいるらしい(写真が違っていたら『眠たかったから』と言えばいい)。コピペなど罪でもなんでもないという主張だが、これは明らかにおかしい。先行研究の概要を紹介するくだりなどは慣れない外国語の文章を自作するより、ネイティブの文章をそのまま引用したほうが効率的だし、読者にもそのほうがずっと読みやすい。たしかに、論文の根幹ではない部分のコピペにはある程度まで目をつぶるという慣習はある(ようだ)けれど、万国共通の基礎知識を説明した文章に著作権が発生しないというのは間違い。たとえば、言葉を選んで分かり易く説明する工夫には著作権が生じるはずだ。

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このページは、eiichiが2014年3月16日 03:32に書いたブログ記事です。

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