Economist誌が、大学の教科書は高すぎると指摘している(元記事)。教科書は、1970年から15倍も高額になった(消費者物価は5倍にしかなっていないのに)。記事の冒頭に皮肉たっぷりの文章。
STUDENTS can learn a lot about economics when they buy Greg Mankiw’s “Principles of Economics”—even if they don’t read it. マンキュー「経済学」を買った学生たちは経済学について多くのことを学べる、たとえ、買ったその本を読まないとしても。
この皮肉の一般的な含意は、学生たちは高額の教科書をまのあたりにして、市場原理の冷徹さを身をもって知り、それに対抗する手段を必死で考える、といったあたりだろうか。でも、私的日本的解釈はこうだ。つまり、学生たちは高額の教科書を強制的に買わされることにより、独占の矛盾を身をもって知り、対抗手段を考えることもできず、ただひたすら、担当教員や大学に幻滅して恨みをつのらせる。
実は、さきの学期末試験の監督をしていて、驚いた。ある大人数講義(他学部)では、未だに、担当教員本人の著書を、教科書として受講者全員に買わせているらしい。試験問題からして十年一日の内容。マンキューの足下にも及ばない、引用だらけの本だろう。この科目の受講生は「多くのこと」をしっかりと学習したにちがいない。