ほとんどの本はネットで購入するようになったが、やはり、書店を徘徊することは必要。あたりまえだけど、本を実際に手にとって中身を周到に確認できるし、思いがけず面白そうな本に出会うことも多い。というわけで、先日も梅田のジュンク堂をブラブラしていて、「写真家 井上青龍の時代」という書物に出会った。
いくつか発見があって、たとえば「ゲンコツ写真」というのは、やっぱり都市伝説だった。この人の手の指は数本無いらしいのだが、これは幼い頃の事故によるものだそうだ(路上撮影の最中に揉め事になって指を落とされたという噂をどこからともなくまことしやかに聞いていたのだけれど・・・^^)。また、よく知られる「釜が崎」以外に、「北帰行」という写真集(死後に出版?)もあって、例の、北朝鮮帰還事業を取材したものらしい。著者の太田順一という人も「大阪」の写真を撮ってきた人らしくて、「女たちの猪飼野」など。むしろ、この著者のほうに興味がわいて(W大政治経済学部中退、大阪写真専門学校卒業という経歴)、この人の別の本(「ぼくは写真家になる」岩波ジュニア新書)も注文した。
それにしても、大阪の写真というと、なぜこういう傾向(マイノリティがモチーフ?)になるんだろうか。大阪生まれ大阪育ちの私には、これが大阪だといわれてもピンとこない。ふと思ったのは、写真を撮っている人たちが大阪生まれではないということ。この人たちも、きっと、自分が生まれ育った故郷を撮るときには、たとえば美しい自然を謳歌して、その土地の発展を支えてきた人々の穏やかながらもたくましい生き様を描こうとするんじゃないのかしらん。。