2015年5月アーカイブ

くどいが、高齢者ではない

大阪市特別区設置住民投票の結果について、「高齢者が改革を拒否した」という論説があいかわらず続いているけれど、これは正しくないし、こういう言い方は本当の対立軸をぼかすようにも思える。前の記事の計算にさらにデータを加えて、単純な回帰をやってみた。

各区の反対票/賛成票  
    = 0.600763 
       - 0.003230×当該区の区民一人あたり税収
       + 0.003021×(中央区ダミー)
       + 1.312076×当該区の区民一人あたり市営住宅戸数 
       + 2.336502×当該区の70歳以上人口比  

すべての説明変数は10%有意、自由度修正済決定係数は 0.5753。この式から各説明変数の寄与度を計算してみると・・・たとえば、反対/賛成が最小の北区と、最大の大正区との差は 0.58 だが、この差のうち、0.2323(40.05%)は平均税収の差によるもので、70歳以上人口比の寄与は 0.1339(23.08%)。高齢者率より、平均税収(つまり平均所得)の違いのほうが大きく影響したという計算結果になる。つまり、住民投票否決の主因としては、「高齢者」より「南北格差」を強調するほうが妥当。

おかしな出口調査

日曜夜は出先のホテルにて、住民投票の開票速報に見入っていた。関西テレビの実況では開票率80%台後半まで賛成票がリード、いよいよ大阪市消滅かと胸も躍ったが、土壇場で大どんでん返し。翌朝、淀屋橋MJBでコーヒーをすすりながら、ボケ—っと新聞をながめた。市長の敗戦の弁「民主主義はすばらしい」、けだし名言^^。

ネット上では、今回の投票結果は「シルバー民主主義の勝利(弊害?)」という見解が目につく。朝日新聞の出口調査によると、年代別で大阪都構想への反対が賛成を上回ったのは、70歳以上だけ。高齢層の高い投票率ともあいまって、全体では反対が過半数となったのだろうという解釈。でも、それは(数学的に)ムリだろう^^。

同様の試算をした人がすでにいるが(こちら)、ボクもやってみた。まず、大阪市の区別年齢別推計人口をこちらからダウンロード、各区での投票結果と出口調査の結果はWikiPediaの記事(大阪市特別区設置住民投票)より引用。ある区の年代別人口を N2 (20台), N3 (30台), ... , N7 (70台以上) として、各年代の賛成者率(出口調査の結果)を A2, A3, ..., A7 とすると、全体の投票率=66.83%の制約下で、各区における賛成総数を以下のようにあらわすことができる。

賛成総数 = K1 * 70歳以上の投票率 + K2

ここに、K1 = N7 * ( A7 - ΣNiAi/ΣNi ) でマイナス(Σはi=2から6まで)、つまり、70歳以上の投票率が上がるほどに、賛成総数は減少する。この式にあてはめてみると・・・たとえば北区では賛成総数は36019票だったが、こんな値になるためには、70歳以上の投票率は165%でなければならない(70歳以上の3人に2人が二度反対票を投じなければならない^^)。此花区でも 161%、都島区では 122%、西成区にいたっては 249%(70歳以上の全員が2.5回反対票を投じねばならない^^)。0%から100%の投票率の範囲で、このような選挙結果が生じることはありえない。つまり・・・

シルバー民主主義の勝利でも弊害でもなくて、単に、出口調査がおかしいだけのこと。

今回の選挙結果については、大阪の「南北格差」から投票結果を解釈した文章が面白かった(大阪都構想住民投票で浮き彫りになった大阪の南北格差問題)。でも、そんなに大仰なものでもなくて、要するに、大阪市全域一律の住民サービス体制が崩れることをおそれる人々が反対をしたということだろう(この点で、反対側のキャンペーンは効果的だった)。住民サービスの負担が受益を上回る区では賛成多数、逆に受益が負担を上回る区では反対多数ということ(QED)。70歳以上の人口より、市営住宅の戸数などのほうが有意な説明変数になると思うけどネ。

ps. 大阪市の区別年齢別人口はExcelのバイナリファイル(お役所仕事 orz)。でも、最近の R はこんなのでもヘッチャラ、必要な部分だけを直接に読み取ってくれる(各ワークシートを逐一csvに変換するような煩雑な作業は不要)。以下のような感じ(ライブラリ xlsx を利用、因子型を数値型に変換するところで30分ほど悩んだ^^)。

library(xlsx)
N = matrix(ncol=3,nrow=21)
dat = read.xlsx("~/Dropbox/R-Work/suikei-nennrei2013-2014.xls",sheetName="西成")
i = 1;
for(r in c(2,3,9,15,21,27,33,39,45,51,57,63,69,75,81)) {
  for(j in 1:3) N[i,j] = as.numeric(as.character(dat[r,j+1]))
  i = i+1
}

マイナンバー

マイナンバーは2015年10月に導入され、2016年分(つまり2017年3月の)確定申告から適用される予定。ボクは、大学専任教員になる前は自営業(のようなもの、自由業もしくは「プー」とも)だったし、専任教員(正社員)になってからも、副業があったり、諸種の特別な控除があったりしたせいで、20代後半から確定申告を欠かしたことがない。独身の頃は、申告しなければ数十万円の追徴を逃れうることが自明のケースでも、まよわず?正直に申告して、よろこんで?納税したものだった。マイナンバーを怖れる?ことなどあろうはずもない(と思っていた^^)。

しかし、つい先ごろ岐阜で発覚した年金の不正受給/支給。50年にわたり5000万円以上を不正に支給/受給していたというのだから凄まじいことだが、このニュースを聞いて、昨日、なぜかボクは異常な不安にかられてしまったのだ^^。

老親の年金額や社会保険支給の算定基準はとても煩雑で面倒で、自分自身で確認をしたことなどはなかった。なにもかもお役所の判断に委ねて、お役所から支給されてくるものを受け取ってきただけなのだが、もしもお役所の計算が間違っていたら、あるいはお役所間の情報共有がうまくいっていなかったら・・・

そういえば、ちょっと待てよ、うちの老親の年金収入は税法上の扶養者条件を満たしていないんじゃないのか、さらに、高額介護サービス費は(ウチの場合には)不正受給じゃないのだろうか。お役所は、老親の年金収入をちゃんと捕捉してくれているのだろうか?これがもし違法なら、ボクは処罰されることになるのだろうか!?

で、昨晩は悪い夢を見た(「○○○○大学経済学部の教授、不正受給で逮捕、マイナンバー導入により発覚」と、7時のニュースにテロップが流れる^^)。で、今日は起きてからまず、今週じゅうには区役所に「出頭」せねばなるまい、何と言い訳すればよいのか、「不正受給分」の全額返済に加えて100万円以上の罰金をどこから捻出すればよいか、等々について頭を悩ませた。そして、そのあとに相当の時間を割いて、ほんとうに「不正受給」かどうかを確認してみた。結果は・・・

あぁ、大丈夫だった^^。お役所はちゃんと捕捉して、ちゃんと計算してくれていた。ポイントは「遺族年金は全額非課税」という法律、この条文を見つけてホッと胸をなでおろすまでに、数時間を要した。お役所から毎年送られてくる年金額通知書などに、このことを一言でも書いてくれていれば、こんなに苦悩することもなかったのに・・・。

どれほどの小心者かと嗤うことなかれ。とまれ、愛国愛郷の道に悖ることは何もしていなかったのだ^^。

ps. ついでにちょっと調べてみると、こんな論文を発見。遺族年金の非課税扱いは廃止すべきという、財政専門家からの提言。そう、非課税は不自然だからこそ、ボクも最初は気づかずに悩んだのです。私的には、非課税廃止となればウチの家計にも相応の打撃になるけれど・・・。しかし、(1分ほどで^^)ざっと見たところ、この試算は少し甘い印象(考慮されていない費目が・・・)。

pps. まったくの別件で、こんな掲示板を見つけたので、メモ。こうした議論が未だにあるんだ。

ナシゴレン

晴れた空の木曜日。昨年秋だったかに購入した「奈良・斑鳩1dayチケット」の期限切れギリギリ最終日。昼過ぎに出て奈良をブラブラしたあと、生駒山上へ。山上遊園地は閉園、スモッグで眺望も悪かったが、せめて夕焼けの大阪平野でも撮って帰ろうと、ケーブル最終便をあえて乗り過ごして日没を待った。が、警備員がやってきて「出ていけ」と叱られた。仕方がないので、山上からとぼとぼと宝山寺までゴロゴロ石の山道を徒歩で下りた。汗まみれでたどりついた宝山寺駅近くのインドネシア料理店、夜景が一望できる屋外席で突風に吹かれながら、うまれてはじめてナシ・ゴレンと、牛肉入りビーフン(正式名は忘れた)を食べた。本場の味かどうかは不明だが、インドネシア料理は奥が深いと思った。キムチのように口に入れた瞬間(臭いを嗅いだ瞬間)に吐きだしたくなるほどの、わかりやすい辛さではなく、実に美味いと咀嚼して飲み込んだ後にじんわりと汗がにじんでくる。けっきょく、さらに汗まみれになり、突風にあおられたので、ゴールデンウィークは、確実に、風邪引きで自宅謹慎。まぁもともと読書三昧に過ごすつもりだったから、風邪をむしろ歓迎^^。

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