アイソクロナス転送、プロヴォーク

↓の続きで、オーディオにまつわる「都市伝説」。古くは、たとえば CD を冷蔵庫で冷やすと音が良くなるとか、CDの表面を蛍光ペンで塗りたくると音が良くなるという類の話。しかし、USBケーブルによって音が異なるというのは、どうやら合理的な説明が存在するようだ。USBオーディオのデータ伝送方式はisochronousと呼ばれるもので、エラーのチェックは行うけれどエラーが判明しても再送は行わないというもの(エラーは受信側で勝手に補間。ちなみにこの方式は1980年代、つまり伝送速度が今よりずっと遅かった時代に採用されたものが未だに使われ続けているそうだ)。伝送ロスがあれば、受信側でアナログに変換した後には違いが生じるはず(原音に忠実でなくなるはず)。そして、安物のUSBケーブルというのは、けっこう、伝送エラーを生じるものらしい。音の違いが「気のせい」かどうか、未だにあちこちで激論は続いているようだけれど^^、まぁ、ボクはこの説明で納得した(といっても、1mあたり数万円のUSBケーブルは、あきらかに眉唾)。

写真家の中平卓馬氏が逝去。
各紙が掲載する一日前に、SNSにとつぜん訃報が流れてきた。誰も指摘しない(するわけもない)ことだけれど、(ネットを眺めていて)フト気づいたことがある。この7月に亡くなった青木昌彦教授と、中平は同年生まれ、しかも、都立小山台高校の同級生だったようだ。
(前者の自伝によると)当時は東大進学者数が全国10位以内の公立校。両者の交流はなかったのだろうか、前者の自伝に中平の名前は出てこない(と思う、流し読みのため不正確)。ボブ・ディランに傾倒し、筆名(姫岡ではない別の筆名)で流行のサブカル誌に文芸評論まで投稿していた前者なのに、後者がたちあげた写真同人誌「プロヴォーク」のことは知らなかったようだ。ちなみに、文芸評論などはあまり読んだこともないけれど、ボクは中平の文章が好きだ。切れ味するどく、「正確無比」つまり、一点の曇りも自分に許そうとしない、あくまで誠実なイメージ。
(悪趣味だけれど)大学卒業後の遍歴も対照的で、「まっぴらごめん」と学生運動から足を洗った前者(自伝による)はアメリカへ渡り、1968年にハーバード大助教授に就任。同じ年に、後者は「プロヴォーク」を創刊。その数年後に前者は帰国して京都大学に着任したが、若い活動家からの相談に「もはや接点はない」と一蹴(自伝による)。この間、後者は、警官殺しで起訴された過激派学生を救援するために沖縄へ足しげく通い、証拠写真の解釈を契機に写真のあり方について悩み続け、どうにもならない袋小路に陥ってしまう(たとえば、こちらの解説「なぜ、中平卓馬か」など)。ほどなく、急性アル中にて昏睡状態に(一命はとりとめたものの、言語記憶中枢に障害が残る)。人生いろいろ。

このブログ記事について

このページは、eiichiが2015年9月 6日 07:26に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「PCオーディオとハイレゾ」です。

次のブログ記事は「24年ぶりの勝利」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

月別 アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 5.13-ja