Strike Back

英国 sky TV のドラマ Strike Back。(架空の)英国MI5秘密部隊の活躍を描いたもの。以前に見た BBC の Spooks がとても面白かったので、この Strike Back も、シーズン1からシーズン5までの全DVDをAmazon.UKから取り寄せた。BBCとちがって、民放ドラマは暴力・セックスの描写が強烈で、主人公の兵士の言葉に Fuck もしくは shit が頻出する。こんなものを子供にも見せて大丈夫なのだろうかと驚いてしまうけれど、そんな感覚も日本人だけのものかも。ドラマの主題は単純明快で、世界はならず者(Rogue)だらけなのだから、自国(Western)の平和を守るためには、強い軍事力と緻密な諜報力が欠かせないというもの。しかし、Westernが憎まれる理由も劇中には示されていて、本当の「ならず者」はかならず信念を持った愛国者である。また、「ならず者」に手を貸すのは獅子身中の虫、つまりカネに目がくらんだ先進国の悪人(Traitor、売国奴とも)という設定も Spooks と共通(思うに、この設定は非常に汎用性が高い。たとえば「慰安婦問題」。訴える側はもちろん信念を持って固執するが、虚偽の記事で事態を深刻にしたのは他ならぬ自国の大新聞)。

シーズン1からシーズン4まで見終えて、先週末から、昨年放映分のシーズン5に入った。ここまでは Spooks と同様に、アラブ・ロシア・アフガンあたりが舞台だったが、シーズン5に至って、とうとう北朝鮮が登場。大量殺戮兵器(WMD, Weapons of Mass Destuction)となる化学物質が、北朝鮮に密輸される。その開発を MI5 の秘密工作員が阻止するというストーリー。日本人になりすましてケンブリッジ大を卒業し、駐タイ英国大使の後妻になった、北朝鮮の女性工作員が主役。彼女が、タイに根城をおいて麻薬の密輸をしている日本のヤクザ(九州「高木組」)と共謀して、化学物質の密輸を計画する。Yakuzaの発音はヤクーザ(クを強く)、Kumichoはクミチョとフラットに。この高木組幹部会の様子が傑作だった。もちろん日本語の会話で、きわめて流ちょうな小倉弁が使われている(きさん・くらすぞ=「おまえ殴るぞ」、英語字幕で小倉弁を学んだ^^)。日英バイリンガルの日本人が演じているのだろうが、みな一様に筋骨たくましいイケメン。あえて難を指摘すれば、ヤクザと朝鮮半島がなぜつながるのかといったあたりを、もうすこし掘り下げてほしかった^^。

ps. さきほど、シーズン5を見終えた。MI5秘密部隊は、主人公の二人を残して全員が殉職。英国政府にも見捨てられて、二人はMI5を離れる。続編はもうないだろう。最後の最後のエンディングに、ボブディラン「天国への扉」。

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このページは、eiichiが2016年1月25日 17:23に書いたブログ記事です。

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