2016年2月アーカイブ

春の気配

家族が入退院を繰り返していて、先週末にある手術の了承をした。担当医の説明はもちろん受けたのだけれど、ネットであれこれ調べ、他の専門家にも相談して、まぁ自分なりに納得したうえでの選択だったと思う。気がそわそわするのに反比例して、CD蒐集のほうは日増しに節度を失いつつある^^。さいきんはモーツァルトが中心で(百田尚樹『この名曲が凄い』の影響でショパンやリストのピアノ作品も^^)、『モーツァルト全作品事典』などを参照しながら、レンタルでも聴けるものはそうしているけれど(大手民間業者3社+大阪市立図書館)、廃盤となっているものも多くて某オークションサイトなども併用。もちろんAmazonの中古出品などもチェックするが、基本的に、1000円/1枚をこえるものには手を出さない。

『モーツァルトベスト101』(石井宏編)には、各界の著名人が、それぞれの好みの曲への思いのたけを述べていて、おもしろい。たとえば、科学史の某大家は失恋の思い出を語っている。「自分の思いを相手に伝えたときに相手の目に宿るかもしれぬ嘲りの色を見るくらいなら、死んだほうがましだ」という言葉を信奉していた、若かりし彼の恋心は、当の相手にはもちろん誰にも知られることはなかったそうだ。そんな彼の「人生の節目」を画した曲は「弦楽四重奏15番ニ短調」(モーツァルトが妻の初産の前後に作曲したもので、生まれた子は2ヶ月後に亡くなったそうだ)。「思い出の一曲」には短調が選ばれる傾向が強いようだが、630曲以上もあるなかで短調の曲はわずか30曲ほど。ある人によると、大家の世代つまり現在の高齢世代には、やはり小林秀雄『モオツァルト』の影響が大きいのだとか(アンリ・ゲオンの「疾走するかなしみ」という表現を引用しながら、ト短調の曲を中心にモーツァルトを語ったエッセイ)。
同じ大家が、貧しかった学生時代にLPプレーヤを購入して、はじめてLPレコードを1枚手に入れたときには「天にも上る気分だった」と書いている。ボクの学生時代にはすでにLPレコードはさほど高価なものではなかったけれど、CDが普及して、さらにPCオーディオの技術が普及して、マウスのクリックひとつで次から次にいろんな演奏を聞き比べることができるなんて、想像すらできなかった。昔にくらべるとコストは極小化されている(だから、ボクの今の音楽蒐集は「大人買い」ではないのだ^^)。

懐メロ居酒屋、絶筆

門戸厄神にて家族全員の健康を祈願した後、梅田に戻って、東通りの「半兵ヱ」に行ってみる。懐メロが聞きたいのに、隣の客がうるさくてどうしようもない。開店直後の夕刻、座敷にはまだ我々と彼らだけなのに、けっこうな音量で流れている懐メロのBGMに負けじと大声を出してくるものだから、ほとんどワケのわからない(耳を覆いたくなるような)狂気の世界^^。若い男が二人連れでこんな店に来るなよ。いや、来るのはいいけれど、もうちょっと静かに語り合ってくれ。私にとって、戦中戦後の懐メロは、西欧近代のクラシックに匹敵する神聖な音楽^^。あんたらもクラシック喫茶では大声を出さないでしょ・・・などというようなことを言えるわけもなく、そそくさと勘定をすませて退散^^。

行き帰りの電車の中などで、百田尚樹「この名曲が凄すぎる」を流し読み。名曲の背景や聴きどころ、それから「クラシック通を気取るスノッブ」への痛烈な批判。「至高の音楽」に次いで、こちらもとても面白い。

百田は最晩年のモーツァルトの作品を「澄み切った悲しみ」と形容している。まぁこの表現はともかく、死の年(1792年)にモーツァルトが作曲したものは、ピアノ協奏曲第27番K595から、絶筆となった未完のレクイエムK626まで(モーツァルト楽曲一覧WikiPedia、ボクはこれらすべてを聴くためにモーツァルト大全集をレンタルしたことがある^^)。しかし、百田(が紹介している最近の研究)によると、未完の絶筆はもうひとつ存在した。「ホルン協奏曲第1番K412+K514」。ホルン協奏曲は第1番から第4番まであって、第1番のケッヘル番号は412+514、つまり、ケッヘル博士はこの第1番の第一楽章を1782年作、第二楽章を1787年作とした。それなのに、なぜこれが(第2番から第4番をとびこえて、いきなり)1792年作の絶筆と判明したのか。研究者たちの謎解きの過程には楽譜紙のX線解析までとびだしてきて、とてもスリリング(ただし、決め手となった証拠じたいはきわめて単純なものだった。「ホルン協奏曲 エレミアの哀歌」等で検索すると、解説が見つかる。たとえば こちら)。

簡保の入院事情書、K622

老親の入院でちょっとアタフタ。病院側に言われるままに個室入院を選んだら(まぁ、大部屋での入院はじっさいにはムリなので)、けっこうな額の保険外費用となる。簡保の入院給付で1/3くらいは返ってくるはずだが、これまではずっと、病院に証明書を発行してもらっていた。この証明書発行に(途方もない)発行料をとられるので、どうにかならないかと調べてみたら、入院事情書というものがあることを発見。入院給付だけなら病院発行の証明書は不要、領収書だけでよいらしい。こんなことはもっとちゃんと知らせておいてよ(郵便局員さんでも知ってる人は少ないらしいけれど・・・涙)。

一週間ほど前に、真夜中に仕事をしながらBGMで鳴らしていたモーツァルトの一節に、ふと衝撃が走った^^。クラリネット協奏曲K622。モーツァルトが死ぬ三ヶ月前の作品、このあとに作曲されたものは小品数曲と未完のレクイエムのみだから、事実上、これがモーツァルトの「白鳥の歌」だろうか。アダージョの美しさは身震いするほどで、(諦めの朗らかさをたたえながら^^)天国への階段を静かにゆっくりと上っていくイメージ。この一週間ほど、こればかりを繰り返して聴いている^^。シフリン David Shifrin と Mostly Mozart orchestra の演奏は、バセット・クラリネットの穏やかな音色がとてもここちよい。この曲の定番らしい二人(レオポルト・ウラッハとザビーネ・マイヤー)の演奏も試してみたが、クラリネットが強く出すぎる印象。
ちなみに、ザビーネ・マイヤーは当代随一のクラリネット奏者で、カラヤンが強引にベルリン・フィルに引き入れようとして楽団員に拒絶された事件の当事者(原因はマイヤーが女性だったこと、そして、うますぎる奏者だったことらしい)。上手なのはなんとなくわかるんだけど、ちょっと出過ぎる感じがするんだな(拙宅のPCオーディオ環境特有のデジタル臭?かもしれんけど・・・)。

最近のPCオーディオ構成は、iMac(Audirvana) ->(旭化成のDAC)-> (パワーアンプ)を通して、ビクターのSX500 Dolce というスピーカーを鳴らしている。20年前に日本橋で購入したもので、実は10年ほどずっと眠らせていたもの(阪神大震災時にトゥイータの防護網を一部破損)。高音域の濁りなどは最早いたしかたないとも思うが、低域のボコボコ感が半端ないので、御影石の上に(昔風に)コンクリートブロックで持ち上げて、インシュレータ二種をかましている。

半兵ヱ、低い決定係数

地方出張で和歌山へ。紀州路快速で1時間ちょっとなのに、実は、和歌山駅で下車するのは初めて。JR駅前のホテルに三泊四日して、業務は無事完了。最終日に市内をブラブラしてみた。
目抜き通りの商店街(シャッター通り)に、ポツンと電器屋が開いていて、いかにも昔ながらの風情。店頭に「非売品・長岡鉄男自作品」と題した年代物のスピーカーが展示されていて、おもわず見入ってしまう(長岡鉄男という人はオーディオマニアには神様のような存在?マニアックな長文の解説つきだったが、まったく理解不能だった)。地方都市(県庁所在地)の電器屋やカメラ屋はだいたい面白い。
噂にきく和歌山ラーメンはまったく期待はずれだったが、最後におもしろい居酒屋を発見。JR和歌山駅前の「半兵ヱ」。「桑港のチャイナ街」が店の外からも聞こえたので入ってみると・・・なんと、かつて全国の県庁所在地に存在した軍国酒場をほうふつとさせる店内。料金はおそろしく安いが、どの料理もちゃんと美味しかった。なにより、昭和20年代30年代の歌謡曲がBGMで絶え間なく流れる。次々と繰り出される戦後の名曲に酔いしれた。この店で呑むためだけに和歌山まで来てもいいとも思ったのだけれど・・・ネットで調べてみるとなんのことはない、全国チェーンで、梅田にもあるじゃないか。料理人や給仕に、懐メロ愛や「熱さ」が微塵も感じられなかったのはそのせいか・・・^^。

ほろ酔い気分で大阪に帰って、ひとつ、積み残した仕事(を、やりはじめたが、すぐにやめた^^)。他人の書いた論文の審査なんだけど、すこしおかしい印象。ボクが指摘する前に、同じ審査にあたっている若い同僚が、すでに、それを指摘していた。重回帰の決定係数が低いときには、ある説明変数の有意性にだけ着目して結果を解釈することはできない。なぜなら、低い決定係数は重要な説明変数の欠落を意味するが、重回帰では、(特殊なケースを除いて)別の説明変数を加えると(すべての説明変数の)係数推定値やt値がガラリと変わりうるから。たとえば、回帰モデル(y=ax)の推定結果と、別の説明変数 z を加えたモデル(y=ax+bz)の推定結果を比較してみると・・・係数 a の推定値は、前者では x'y/x'x だが、後者では (z'z x'y - x'z z'y)/(x'x z'z - z'z z'x) のようになる。この両者が一致するための条件は z'x = 0 つまり x と z が直交すること(y,x,zは列ベクトル、z'x などは2つのベクトルの内積)。これはかなり特殊なケースだろう。

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