家族が入退院を繰り返していて、先週末にある手術の了承をした。担当医の説明はもちろん受けたのだけれど、ネットであれこれ調べ、他の専門家にも相談して、まぁ自分なりに納得したうえでの選択だったと思う。気がそわそわするのに反比例して、CD蒐集のほうは日増しに節度を失いつつある^^。さいきんはモーツァルトが中心で(百田尚樹『この名曲が凄い』の影響でショパンやリストのピアノ作品も^^)、『モーツァルト全作品事典』などを参照しながら、レンタルでも聴けるものはそうしているけれど(大手民間業者3社+大阪市立図書館)、廃盤となっているものも多くて某オークションサイトなども併用。もちろんAmazonの中古出品などもチェックするが、基本的に、1000円/1枚をこえるものには手を出さない。
『モーツァルトベスト101』(石井宏編)には、各界の著名人が、それぞれの好みの曲への思いのたけを述べていて、おもしろい。たとえば、科学史の某大家は失恋の思い出を語っている。「自分の思いを相手に伝えたときに相手の目に宿るかもしれぬ嘲りの色を見るくらいなら、死んだほうがましだ」という言葉を信奉していた、若かりし彼の恋心は、当の相手にはもちろん誰にも知られることはなかったそうだ。そんな彼の「人生の節目」を画した曲は「弦楽四重奏15番ニ短調」(モーツァルトが妻の初産の前後に作曲したもので、生まれた子は2ヶ月後に亡くなったそうだ)。「思い出の一曲」には短調が選ばれる傾向が強いようだが、630曲以上もあるなかで短調の曲はわずか30曲ほど。ある人によると、大家の世代つまり現在の高齢世代には、やはり小林秀雄『モオツァルト』の影響が大きいのだとか(アンリ・ゲオンの「疾走するかなしみ」という表現を引用しながら、ト短調の曲を中心にモーツァルトを語ったエッセイ)。
同じ大家が、貧しかった学生時代にLPプレーヤを購入して、はじめてLPレコードを1枚手に入れたときには「天にも上る気分だった」と書いている。ボクの学生時代にはすでにLPレコードはさほど高価なものではなかったけれど、CDが普及して、さらにPCオーディオの技術が普及して、マウスのクリックひとつで次から次にいろんな演奏を聞き比べることができるなんて、想像すらできなかった。昔にくらべるとコストは極小化されている(だから、ボクの今の音楽蒐集は「大人買い」ではないのだ^^)。