「ハコモノIT」とは私の勝手な思いつきの言葉だが、カネをかけて設備やシステムを整えればそれだけでICTの高度な利活用が可能になるという、安直な?考え方を指している(つもり)。もともとは、以前に経産省所管の研究所あたりがさかんに唱えていた「日本企業の弱点」のひとつ。90年代以降の情報通信革命に対応するためには組織変革や人材育成などの無形資産 intangible assets への投資が重要なのに、日本企業はハード・ソフトの有形資産への投資には巨額のカネを使うけれど、無形資産の蓄積については遅れているというもの。
そんなに大げさなものではないが、身近なところでも、こうした intangible assets の欠落を感じることがある。たとえば、せっかくアンケート調査をやっても、単純なクロス集計で済ませてしまう。対外的にはそれで十分なのかもしれないし、より深い分析の必要性を主張してみても分析がうまくいく保証はない。うまくいったとしても役にたつかどうか不透明で、労力が正当に評価される可能性は低い。だから、そんな分析の必要性は、誰も指摘しない。
私の大好きな「スコットランド幻想曲」。これを聴くたび、90年代後半のスコットランド旅行を思い出す(妻の運転する車で、しかも、車内で鳴らし続けていた BGM はスピッツ「楓」だったけれど^^)。これを作曲したブルッフは、ブラームスより5歳下、ビゼーと同い年、チャイコフスキーより2歳上、ドヴォルザークより3歳上。しかし専門家によると、ブルッフは、現在に至るまで正当な評価をされていないらしい。じっさい、「スコットランド幻想曲」と「バイオリン協奏曲1番」以外は、発売されているCDがきわめて少なく、有名な奏者の演奏はほとんど見当たらない。手元にあるものでは、ジャクリーヌ・デュ・プレ(チェロ)が弾く「コル・ニドライ」、ザビーネ・マイヤー(クラリネット)の「八つの小品」くらい。しかし、哀しく切ないメロディラインは、とても魅力的。このさい、ブルッフの作品を集めてみようと思い立ち、交響曲や室内楽などを Amazon.UK に発注(多くのCDが日本の半値ほど)。